私はぎゅっと息を止めて、意を決するようにゆっくりと腕を持ち上げた。
そして、震える指先で東の首へと手を伸ばす。
そのまま、抱きしめるように——ぎゅっと。
距離が、さらに近くなる。自分でも分かるくらい力が入ってしまっているのに、離すことなんてできなかった。
するとすぐ、耳元で低くて柔らかい笑い声が響いた。
「…苦しい?」
「はは、大丈夫」
軽く笑いながらそう言う東の声が、近すぎて、くすぐったくて、心臓に悪い。
情けないし、恥ずかしいし、こんなつもりじゃなかったし。
本当はもっと普通に、ちょっと頑張ってるところ見てもらえたらそれでよかったのに。
結局、東がバスケしてるところだって、ほんの少ししか見られなかった。
それなのに——今の私は、その何倍もすごい距離にいる。こんなの、反則だと思う。
でも、これって……ご褒美だと思っていいんだよね?そう思ってしまうくらいには、嬉しくてたまらない。



