ねぇ、東。どうしたら、気持ちに気づいてくれるの。
そんな言葉は飲み込んだまま、代わりに私は東の右袖をそっと引っ張った。
ほんの少し力を入れただけだったのに、東はあっさりバランスを崩して、ベッドに手をつく。
その瞬間、距離が一気に縮まった。顔が、近い。さっきまでとは比べものにならないくらい近い。
「…っ、なに?」
低い声が落ちてくる。
でも、なに?じゃないし。こんなに近いのに、平気な顔してるのがずるい。もっと、ちゃんと動揺してほしい。私を意識してほしい。
気づいたら、いてもたってもいられなくなっていた。私はそのまま東の肩に手を置くと、軽く押した。ベッドの上で、東の体勢が崩れる。
「……えーと……西宮?」
いつも余裕そうな声が、ほんの少しだけ揺れた気がした。徐々に、東の頬に色が差していく。さっきまでなかった変化に、胸の奥が跳ねる。
目も、ほんの少しだけ逸らされた。その瞬間、嬉しい、と思ってしまった。
ああ、だめだ。こういう顔。こういう反応。その一瞬だけの揺れ。
もっと見たい、もっと欲しい。



