どうしよう。さっきからずっと、胸がうるさい。痛いくらいにドキドキしてる。
足の痛みも確かにあるはずなのに、それ以上に意識が全部持っていかれてる。
男の子って、みんなこんなものなの?こんなに簡単に、人を持ち上げられるものなの?
それとも——東だから、なのかな。
そんなことを考えてしまった瞬間、また心臓が強く跳ねて、私はぎゅっと目を閉じるしかできなかった。
「西宮。万が一落ちたら危ないから、手どこか掴んどいてくれる?」
落ちたら危ないって、そんなの分かってるけど…問題はそこじゃなくて。
「手…」
抱きかかえられたままの私の手は、自分の胸の前で行き場をなくしていた。
掴むって言われても、どこを?どうやって?そんなの、意識しないほうが無理に決まってる。
「…いいの?」
思わず小さく確認してしまう。だって、もし勘違いだったらと思うと怖いし、でも確認しないまま触れる勇気なんてもっとない。
「いいよ」
あっさりとした返事。
……いいんだね?本当に、いいんだね、東?
胸の奥で何かが弾けるみたいにドキンと音を立てる。



