しばらくして、東は湿布を持って戻ってきて、私の前にしゃがみ込む。
「靴脱がすよ」
一言だけそう言ってから、私の足元に手を伸ばす。その指が触れた瞬間、びくっと身体が反応してしまう。
「結構腫れてんね」
淡々とした声とは裏腹に、足首に貼られた湿布はとても丁寧だった。ひんやりとした冷たさがじわっと広がっていく。
「どうする?すぐ病院行く?先生呼んでくるけど」
「え!?そこまで東に迷惑かけれないよ!」
こんなの、ただの捻挫だし、そこまで大げさにするほどじゃない。それに、これ以上頼ったら本当にダメな気がしてしまう。
「迷惑なんて思ってないよ」
俯いたままの東が、小さく笑う声がした。
東、今どんな顔してそんなこと言ってるの。見たいのに、角度的に見えるのは、ただ整った頭のつむじだけ。
……つむじ。いや、なんでこんな状況でそんなこと思ってるの私。
「かわいい」なんて言葉が頭をよぎって、すぐに自分で打ち消す。
いやいや、かわいいって何。怪我してるのに思うことじゃないでしょ。



