保健室に着くと、電気はついているのに、先生の姿は見当たらない。
「先生いないみたいだな」
東が短くそう言って、迷う様子もなく私をベッドへと運ぶ。ふわりと布団の上に降ろされると、一気に身体の力が抜ける。
「湿布もってくるから待ってて」
そう言って、東はすぐに立ち上がる。
「あ…」
思わず声が漏れたけど、そのまま距離ができていく。さっきまであんなに近かったのに、簡単に離れてしまって、胸の奥がきゅっと縮む。
恥ずかしいとか、痛いとか、そんなのよりも先に来たのは、どうしようもない寂しさだった。さっきまで抱えられていたのが嘘みたいだ。
東に伸ばしかけた右手は、途中で止まったまま、結局何も掴めずにゆっくりと下ろされた。
……やっぱり、私だけだよね。いつものことだけど。
東は誰にでも優しい。それは分かってる。私にとっては特別に感じることも、東にとってはただの些細なことなのかもしれない。
それでも、少しくらい意識してくれたらいいのに。
小さくため息をつきながら、私は棚の前で湿布を探している東の背中を見つめた。



