情けないし、恥ずかしいし、こんなつもりじゃなかったし。本当はもっと普通に、ちょっと頑張ってるところ見てもらえたらそれでよかったのに。
結局、東がバスケしてるところだって、ほんの少ししか見られなかった。それなのに——今の私は、その何倍もすごい距離にいる。こんなの、反則だと思う。
でも、これって……ご褒美だと思っていいんだよね?そう思ってしまうくらいには、嬉しくてたまらない。
「なんで気づいてくれたの?」
私が足を捻ったこと、誰にもバレないようにしてたのに。三木ですら気づかなかったのに。ましてや東なんて、ネットの向こう側で同じ時間に試合してたはずなのに。
「さあ。なんでだろうね?」
少しだけ意地悪な言い方で、でもどこか楽しそうに東が答える。
「…っ、」
す、すきっ…!そんなふうに言われたら、期待しちゃうに決まってるのにっ…!東の女たらしめっ。
でも…こういうところが、本当にたまらなく好き。さりげなくて、でもちゃんと見てくれてる気がして、でも決定的なことは言わなくて。距離を保ったまま優しさだけをくれる、その感じが。
たぶん東にとって私は、そこらへんに生えてる雑草みたいなものなんだと思う。特別でもなんでもなくて、ただ視界に入ったから気にかけただけの存在。
でも、それでもいい。その雑草にだって、ちゃんと目を向けてくれて、手を差し伸べてくれるような、そんな優しい人だってことは、ずっと前から知ってる。
きっと、私じゃなくたって、目に入った子には誰にでもこうするんだろう。分かってる。
それでも——それも全部ひっくるめて、東汀なんだ。



