「あ、東くんだ…かっこいいよね」
「さすがナンバーツー」
近くからそんな声が聞こえてきて、思わず心の中で小さく笑ってしまう。
そうだよね、みんなにとっての東は“ナンバーツー”。でもそれでいい。むしろそのままでいてほしい。
だって私の中では、東はずっとナンバーワンなんだから。
誰にも譲りたくない、私だけの一番でいてほしいって、そんな独りよがりな願いを抱えてしまうくらいには、好きなんだと思う。
「すぐりー、試合始まるよー」
「今行くー!」
さっき東と話せたことに浮かれていたのか、コートに入って試合が始まっても、気持ちはどこかふわふわしたままで落ち着かない。
だってすぐ隣のコートでは東が試合をしているんだよ?気にならないわけがない。
ちらっと視線を向けるたびに、東の動きを目で追ってしまう。
さっきまで北見くんに夢中になっていた女子たちが、今度は東のプレーに歓声を上げているのも視界に入ってきて、なんだか複雑な気持ちになる。
私だって見たいのに、ちゃんと見れないこの距離がもどかしい。
それより何より、とりあえず今は、どうかボールが私のところに来ませんようにと心の中で必死に祈る。



