君に捧げるアイラブユー




言ったあとでちょっと言い過ぎたかもって思うけど、もう遅い。


東は「そーなの?」って、楽しそうにクスクス笑っている。

その笑い方すら優しくて、余裕があって、やっぱり敵わないなって思う。


そうだよ、東。私、ほんとに運動神経悪いの。ボールなんてまともに扱えないし、走れば転びそうになるし、シュートなんて入る気がしない。

だけど、それでも少しだけ思ってしまう。
もしも、ほんの少しでもいいから、東の目に映る自分が、今よりちょっとだけでもマシに見えたらいいのにって。



「おーい、汀!次試合!」

「はーい」



呼ばれて振り返った東は、バスケットボールを抱えたまま軽く手を上げて、そのまま私に視線を戻す。そして最後に、まるでアイドルみたいに眩しい笑顔をひとつ落としてきた。



「西宮、頑張ってね」

「あ、東も…!」



言い返したときにはもう、東は軽やかにドリブルしながらコートの方へ向かっていて、振り返りざまにひらひらと手を振って去っていってしまった。

その後ろ姿をぼんやり見つめながら、胸の中でじわじわと何かが広がっていく。

頑張ってね、なんて軽く言うけど、その言葉がどれだけの威力を持ってるか、東はきっと分かってない。
たぶん東のことだから、きっと他の子にも同じように言ってるんだろうなって思うのに、それでも特別に感じてしまう自分が悔しい。