「やばい、ほんと王子様じゃん」
「足長すぎない?」
なんて声が飛び交う中、私は体育館の端で膝を抱えて座り込みながら、その様子をぼんやり眺めていた。
「誰もが二度見するほど麗しい王子様、ね~?」
思わず小さくそう呟いた瞬間、ダンダン!と強く床を打つドリブルの音が近づいてきて、え、と思った次の瞬間には、ボールをついた三木が一直線にこちらへ突っ込んできた。
「すぐりは、その“誰もが”の中に入ってないもんね?」
「三木、怖い…!」
現役バスケ部の三木は、決して私に本気でボールを当てたりしないって分かってる、分かってるけど、それとこれとは話が別で、運動音痴代表みたいな私からすれば、オレンジ色のボールそのものが凶器に見えるのだ。
「ちょうどいい汗かいたー」
呑気に言いながら、三木は私の隣にどさっと座り込む。
「次、すぐりのチームだよ」
え、うそ、もう?
どうやら三木チームの試合は終わったらしい。



