青い青い空


「じゃあおねえさまが乾かして」

「そこまで甘やかしません」

「じゃあ長風呂だった理由吐け」

「よ、喜んで乾かしましょうとも」


 慌ててドライヤー等々取りに脱衣所の方へと駆けていく後ろの方で「そんなに嫌なんかい」と、楽しげな声が聞こえた。


「……なあ、髪なんか付けた?」

「あ。ちょっとだけヘアオイル付けたんだけど、ダメだった?」


 きっと笑っているだろう彼は、やっぱりその理由を聞かないでいてくれるよう。私がソファーに座り、それを背もたれにこたつに座る宵の髪を乾かしてあげていると、「んー」と少しだけ困ったような声が上がる。

 失敗したかもしれないと心の中で猛省しながら、クールモードにして弟の髪を梳いた。


「ごめんね。嫌だったらホットタオル持ってきて髪拭くよ」

「や、そうじゃなくて」

「もう一回頭洗ってくる?」

「ただ、ちょっと違和感というか」

「宵くんオイル使うの初めて? まだ若いもんねえ」

「そうじゃなくて、自分からお前と同じ匂いがするから」


「言わすなよ」と、弟は首を隠すように両手を置く。

 風に靡いた横髪から、少しだけ赤くなった耳が見えた気がした。