青い青い空


 ただ、今日に限っては、何故か弟が扉から離れていく気配がなかった。


「んー。じゃあ明日は?」

「あ、明日も食欲が」

「ない設定でもいいから、少しだけ顔出して欲しいんだけど」

「せ、設定とか。そんなんじゃ」

「ちょっと話しときたいことがあって。父さんも、明日は帰れそうだって言うから」

「……広夜さんも一緒?」


 扉越しに、やさしい声が返ってくる。「そうだよ」と、きっとやわらかい笑みを浮かべながら。


「明日も仕事?」

「ご、午前中だけ打ち合わせがあって。その後は夜まで喫茶店のシフトを入れてて」

「りょーかい。腹減って倒れんなよ」

「よ、宵くん」

「ん?」

「どっ。どんな話?」


 上擦った声に、彼はただ笑って答えた。

 ネタバレは、また明日だと。