青い青い空


 思わず面食らう私に対し、右京の向こう側でハイペースに飲み続けていた野田は、店中に響き渡るほどの大きな声で笑い声を上げた。


「ちょっ。野田さん、声……!」

「姉弟喧嘩はたくさんしといた方がいいぞ」

「野田さんはご兄弟とよく喧嘩されたんですか?」

「兄弟とは少し違うが、似たような奴らがな。若い頃は口だけじゃどうにも収まらんで、殴り合いの喧嘩で周りにもよく被害を出してた」

(の、野田さんと殴り合い……?)


 そんなの、結果は火を見るより明らかだ。大人しくしていた方が、痛い思いをしないで済むだろうに。


「……もっとしとけば、こんなことにはならなかったんだろうけどな」

「野田さん?」


 小さく呟いた言葉は、右京を挟んだ私の耳にはよく聞こえなかった。


「今日はもう飲み過ぎたから、あとは若い二人で宜しくしてくれと」

「絶対違いますよね」

「おや? 言い切れるのですか?」

「野田さん」

「んあ?」

「もう足腰立たないんですか」

「おう!」

「ね? 概ね合ってる」

「言葉のニュアンスについて言っているんです」

「ああ、すみません。僕一応ハーフなので」

「私よりも十分日本語はお上手ですけどね」