青い青い空


「ま、昔の俺だったら、地獄の果てまで龍青のこと追いかけてただろうけどな」

「あ、あはは……」

「だから、ありがとう青崎。お前がいてくれてよかった」

「い、いえ……」


 一度、ぎゅうっと力が入る。でもすぐにそれは緩んで、私はそっと窺うように、そこから顔を上げた。


「――! あっ。えっと……ひゃっ」


 思ったよりも近くで絡んだ視線に、慌てて離れようと彼の胸を押し返す。けれど、上手く力が入らないせいかそれはビクともしない。

 終いには、切った髪を梳くように頬に手が添えられた。かああっと、体が熱くなる。


『――ねえ見た? 一石さんと佐裕子さんの薬指。同じデザインの指輪だったわよね!』

『とうとうご結婚されたのね! おめでたいわ! お二人すごくお似合いだったもの!』


 疾うに忘れた、呼び起こされそうになる図々しい気持ちを直隠そうと、流石にこれ以上は怒りますよと声を上げようとしたところで、タイミングよくスマホが鳴り響く。


「よ、宵くん。どうしたの?」

『飯』

「広夜さんと食べたんじゃないの?」

『いるかどうか聞いてんだよ早く答えろ』


 口調は相変わらず酷いが、食事の心配をしてくれるくらいには、機嫌はいい方らしい。