青い青い空


 どこか和やかな空気になったおかげか。普段なら絶対に言えないことや聞けないことまでぽろぽろ口からこぼれていく。


「いつも、仕事が遅くてすみません」

「別に。気にしてない」

「いつも怒らせてすみません」

「別に? それこそ気にしてない」

「気にしてないんですか?」

「根に持つことはめったにない」

(うん。持たせないようにしよう)

「そもそも、アルバイトだからって甘やかしてる一石さんが悪いんだし」

(それについては私からは何とも……)

「見込みがない奴に怒鳴る時間を割くほど、オレも暇じゃない」


 一石の過保護についてどうしたものかと悩んでいたせいか、最後に何を言ったのかがよく聞こえなかった。


「あの、今なんて」

「二度聞きする奴を相手にするほどオレも暇じゃない」


 そう言われてしまっては、これ以上は何も言えなかった。



 しばらくの間再び作業に戻ってから、一箱段ボールがぱんぱんになると、「それじゃあ持ってくから貸して」と彼はひょいっとその箱を奪っていった。


「何も、聞かないんですか」

「会社にプライベートなことを持ち出すつもりもなければ暇もない」

「す、すみません」

「ただ、ご愁傷様とは思うけど」

「どうしてですか?」

「だって、あいつワンコ気質だけどしつこそうじゃん? いろいろと」