想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 祝福の金が鳴り響くチャペルに、桜の花びらが舞う。

 凱斗さんと初めて言葉を交わしてからちょうど一年後の三月。

 私と凱斗さんはようやく結婚式を挙げた。


「そろそろだ、蒼羽」

 ウェディンググローブに包まれた手を、凱斗さんの腕に添える。

 二人並んで、扉の前に立った。

 この扉の向こうには、凱斗さんと私の家族、友人や同僚、お世話になった先輩方、たくさんの人たちが待っている。


 二人でこの場所に立つまで、本当に色々なことがあった。

 戸惑いながらも凱斗さんからの契約結婚の提案にOKしたことも、彼のことを好きになっていった日々も、別れを決意したことも、今ではすべて懐かしい思い出だ。


 緊張する私を見て、凱斗さんが微笑みかける。

「きれいだよ、蒼羽。みんなに見せびらかしたいけど、誰にも見せたくない。俺はどうしたらいいんだ?」

「安心してください。誰がなんと言おうと、私には凱斗さんだけですよ」

 そう言う私を見て、凱斗さんが少し照れて笑う。

「幸せになろうな、俺たち」
「はい」

 私たちに、こんな日が訪れるだなんて一年前は思ってもみなかった。


「皆さまそれではご注目ください。新郎新婦の入場です!」


 扉が開いて、大好きな人たちの笑顔が見える。

 ここからが、本当の二人のスタートだ。


 私と凱斗さんは、二人歩幅を合わせて、ゆっくりと歩き始めた。


 ~おわり~