想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 どれくらい時間が経ったのだろう。

 ひと通りの対応は終わったらしく、オフィスはすっかり落ち着きを取り戻している。
 
 握りしめていたスマホが震えた。

 震える指でタップすると、凱斗さんからのメッセージだった。

【心配かけてすまない。今どこにいる?】

「凱斗さん……」

 全てが片づいて、ようやく自分のスマホを触ることができたのだろう。メッセージの画面が涙で滲む。

【まだ社内にいます。凱斗さんは今どこに?】

 ちょっとのラグがあって、再びメッセージが入る。

【T1屋上の展望デッキまで来れるか?】

【会いたい】

 返事もせずに、駆けだした。

 AJAのオペレーションセンターを出て、第一ターミナルへ向かう。

 行き交う人の合間を抜け、展望デッキへと繋がるエレベーターを目指した。
 
 屋上へ向かうエレベーターのスピードが、ひどくゆっくりに感じる。

 ようやく着いて、ドアが開いた途端、私は外に飛び出した。
 

 凱斗さん、どこにいるの?
 
 昼間に比べたらだいぶ人は少ないけれど、それでも最終の時間まで離着陸する飛行機を眺める人はいる。

 叫びたいのをこらえ、私は必死に凱斗さんを探した。


「蒼羽!」