偽カノ始めたら、彼の本気が止まらない件

「……他に、何かある?」

「ないよ。雫は?」

「……私もないかな」


私の答えを聞いて、桐谷君は笑顔で手を差し出してきた。


「じゃあ、契約成立って事で。これからよろしくね?俺の彼女」


そう言われて、戸惑いながらも私は彼の手を取る。


「よろしく……お願いします」

「硬いよー。もう少し柔らかくいこうよ」

「こんな事、初めてだし、仕方ないじゃない」

「そっか。じゃあゆっくりいこうか。とりあえず、今日は一緒に帰ろ?さっきの奴どっかで見てるかもしれないし」


ギュッと握手から指を絡ませて、恋人つなぎの形になる。

私は驚いて手を引っ込めようとしたけれど、させてもらえなかった。


「少しずつ慣れていこうよ。手をつなぐのはルール違反じゃないっしょ?」

「二人きりの時は普通でいる事って言ったし」

「どこで誰が見てるかわかんないじゃん?」

「そうかもしれないけど……!」