まぼろしテンダー




「昴!何してんの!?」



なっちゃんの声が頭上から降ってきて、私は反射的にぎゅっと瞑っていた目を開けた。

次の瞬間、視界に入ってきたのは、地面――じゃなくて、人。目の前、というか、完全に私の下に、人がいる。



「ギャー!人!?死んでる!?」



思わず叫んでしまった。うつ伏せになって動かない、制服を着た男の子。ぴくりとも動かない。


え、ちょっと待って。これ、私……人、殺した?



「だ、大丈夫……?」



恐る恐る声をかけてみるけど、返事はない。


沈黙。静寂。まずい。完全にまずい。



――どうしよう。

――バレたら人生終わる。

――埋めるしかない。



本気でそんな考えが頭をよぎった、そのとき。



「……お、まえ……ふざけんなよ」



低くて、かすれた声。
生きてる。


ほっとしたのも束の間、男の子は手をついて、ゆっくりと顔をあげた。そのまま、私の顔を見るなり、信じられないくらいの力で頬を掴まれる。



「ご、ごめんなひゃい……!」



頬が引っ張られて、まともに喋れない。