あの夏、キミが描いた青空


夜中の学校、誰もいない静かな教室。



俺は紗英以外の女子を集めて話をした後、職員玄関からこっそり校内に忍び込んだ。



そして俺はデザインセットの中から筆とパレットと絵の具を取り出して、画用紙を立てた。



俺の力でこの雨を止ませることができるのなら。



もう一度、アイツに青空を見せてやれるのなら。



それで、アイツを笑顔にできるのなら。



俺は自分を犠牲にして青空を描くよ。



パレットに絵の具を垂らして、青空を描く。



雲ひとつない、真っ青な青空を。



元々、絵を描くのは苦手だ。



だけど、苦手なりに一生懸命描いていく。



アイツの笑顔は俺が守る。



誰がなんて言おうと、俺はアイツの笑った顔が好きだ。



俺はアイツ、紗英のために一生懸命青空を描いた。



絵の具がなくなったら足す、濃すぎたら薄める。



それを繰り返し行い、綺麗な青空を描きあげた。



今思えば、紗英とは色々な経験を共にした。



元々感情の薄い俺だったけど、楽しいことも悲しいことも、紗英と一緒だから経験できた。



ずっとそばにいたいって思えた。



けれど、その夢は叶わない。



だから最後に、俺はお前に青空をプレゼントするよ。



雲ひとつない青空を。



「紗英、好きだ」



苦しいほどに、お前が好きだ。



「ん、なんだこれ」



俺の目から一滴の水が落ちた。



それと同時に時計の針が0時を指した。



そして俺は、静かにこの世界から姿を消した。