あの夏、キミが描いた青空


重い瞼を開けると、白い天井が見えた。



「あっ、目、覚めた?」



保健室の先生だ。



っていうことは、ここは保健室?



「あの、あたし…」



どうやってここまで来たんだっけ?



カラダを起こしながら考える。



「もう、夜に学校なんかに忍び込んじゃダメでしょ?明け方に教室で倒れているあなたを小山先生が見つけて、みんなで担架で運んだのよ?」



そんなことがあったんだ…。



「すみません。ありがとうございました」



お礼を言って、小さく頭を下げた。



そういえばあたし、何で昨日の夜教室にいたんだっけ?



何か、大事なものを失ったような気がした。



だけど、思い出せない。



思い出したい一心で考えると、ある人を思い出した。



…大野だ。



「大野…大野!」



大野はどうなったのだろうか。



本当に消えてしまったの?



必死に叫ぶあたしの背中を、先生がさすってくれた。



「大野って子が誰だかわからないけど、さっき紗英ちゃんのお熱測ったら37.8°もあったんだから、大人しくしててね」



「えっ?」



先生、今なんて言った?



大野のことが誰だかわからないって言ったよね?



いやいや、冗談でしょ。



だって、あんなに仲がよかったんだもん。



「ほら、もう少し寝てて」



先生にカラダを横にされたあたしは、布団を頭まで被った。



先生が大野のことを覚えていない。



そのことについて考えていたが、次第に瞼が閉じていった。







次に目が覚めたとき、熱は平熱まで下がっていた。



「あら、よくこんな短時間で下がったね。行けそうならもう教室に戻っていいよ」



「はい。ありがとうございました」



あたしはお礼を言って走って教室に戻り、すぐに琴音の元に行った。



「琴音!」



「紗英!」



琴音はあたしを見るなり抱きついてきた。



「紗英ー、よかった。教室で倒れてたって聞いたから心配したよ」



「ごめんごめん」



「でも元気になったならよかった!」



そう言って琴音は、ぴょんぴょん飛び跳ねた。



あっ、そうだ、琴音に聞きたいことがあるんだった。



「ねぇ琴音。大野って覚えてる?」



あたしは琴音にそう質問した。