重い瞼を開けると、白い天井が見えた。
「あっ、目、覚めた?」
保健室の先生だ。
っていうことは、ここは保健室?
「あの、あたし…」
どうやってここまで来たんだっけ?
カラダを起こしながら考える。
「もう、夜に学校なんかに忍び込んじゃダメでしょ?明け方に教室で倒れているあなたを小山先生が見つけて、みんなで担架で運んだのよ?」
そんなことがあったんだ…。
「すみません。ありがとうございました」
お礼を言って、小さく頭を下げた。
そういえばあたし、何で昨日の夜教室にいたんだっけ?
何か、大事なものを失ったような気がした。
だけど、思い出せない。
思い出したい一心で考えると、ある人を思い出した。
…大野だ。
「大野…大野!」
大野はどうなったのだろうか。
本当に消えてしまったの?
必死に叫ぶあたしの背中を、先生がさすってくれた。
「大野って子が誰だかわからないけど、さっき紗英ちゃんのお熱測ったら37.8°もあったんだから、大人しくしててね」
「えっ?」
先生、今なんて言った?
大野のことが誰だかわからないって言ったよね?
いやいや、冗談でしょ。
だって、あんなに仲がよかったんだもん。
「ほら、もう少し寝てて」
先生にカラダを横にされたあたしは、布団を頭まで被った。
先生が大野のことを覚えていない。
そのことについて考えていたが、次第に瞼が閉じていった。
*
次に目が覚めたとき、熱は平熱まで下がっていた。
「あら、よくこんな短時間で下がったね。行けそうならもう教室に戻っていいよ」
「はい。ありがとうございました」
あたしはお礼を言って走って教室に戻り、すぐに琴音の元に行った。
「琴音!」
「紗英!」
琴音はあたしを見るなり抱きついてきた。
「紗英ー、よかった。教室で倒れてたって聞いたから心配したよ」
「ごめんごめん」
「でも元気になったならよかった!」
そう言って琴音は、ぴょんぴょん飛び跳ねた。
あっ、そうだ、琴音に聞きたいことがあるんだった。
「ねぇ琴音。大野って覚えてる?」
あたしは琴音にそう質問した。

