「大野!」
学校に着くと、大野が入ったであろう、職員玄関のドアが少しだけ開いていた。
そこから校内に入ったあたしは、急いで大野がいるという教室へと向かった。
スマホで時間を見ると『23:59』と表示されていた。
あと一分…もしあの絵を描き終えていたら、あと一分で大野は消える。
その前に、どうしてもあたしは大野に「好き」と伝えたい。
角を曲がって、一直線の廊下を走る。
外から見たとき、職員室にはまだ電気が付いていた。
ということは、まだ先生がいるのだ。
だけど今は『先生に見つかったらどうしよう』なんて言っていられない。
その間にも、運命のカウントダウンが進んでいくのだから。
早く…もっと速く走らなきゃ。
そう思えば思うほど、足が動かなくなる。
あたしは息を切らしながらも、必死に走った。
最後の角を曲がって、ようやく教室が見えてきた。
いつもはすぐに着く教室も、今日は遠く思えた。
そして、やっとの思いで教室にたどり着いた。
「大野!」
あたしは勢いよくドアを開けた。
「大野っ…!」
教室に入って、中を見渡す。
だが、そこにはもう、大野はいなかった。
そこであたしが見たのは、キラキラと舞っている光だった。
「大野…」
教室に入ったあたしは、その場に座り込んだ。
間に合わなかった。
大野に気持ちを伝えられなかった。
何も言えずに終わってしまった。
結局あたしは何もできなかった。
別れの悲しさが込み上げてきて、泣いてしまった。
ずっとずっと泣き続けた。
そして泣き疲れたあたしは、いつの間にか眠ってしまったのだった。
その教室には、真っ白な画用紙と、先っぽに青い絵の具がついた筆、青色の絵の具が散らばっていた。

