「失礼します」
大野が保健室のドアを開けながら言った。
するとすぐに保健の先生が出てきた。
「あら大野くん。紗英ちゃん、素敵な彼氏さんだね!」
「えっ?」
先生は大野を彼氏だと勘違いしているようだ。
「先生、別に大野は彼氏じゃ…」
「やだ、お似合いよ。隠す必要なんてないわ!」
「彼氏じゃないよ」そう言おうと思ったが、先生に遮られた。
大野なんて顔真っ赤にして否定しないし…。
そんなんだから勘違いされるんだよ。
この言葉は胸に秘めておいた。
「さっ、彼氏くん、彼女ちゃんをこのベッドまで運んでくれるかな?」
「はい」
何とか冷静さを保つ大野は、あたしをベッドまで運んでくれた。
「ありがとう!じゃ、これ体温計ね。熱測っておいて」
あたしは少し震える手で体温計を受け取った。
『ピピピピっ、ピピピピっ』
「何度だったー?」
「38.6です」
意外と高くてびっくりだ。
「紗英ちゃんはしばらく寝てて。大野くんは後はもう帰るだけだよね?」
「まあ、そうっすね」
「よかったら先生とお話ししない?2人の出会いとか聞かせて!」
だから付き合ってないって…。
その言葉を発することは無く、あたしは横になったままぼーっとしていた。
「大野くんはいつから紗英ちゃんのこと好きだったのー?」
「え、えーっと…」
ほら、大野が困ってるじゃん。
けれど時々、大野の笑い声も聞こえる。
大野と先生は楽しそうに話しているようだ。
あたしも混ざりたかったが、熱があるため大人しくしておこう。

