あの夏、キミが描いた青空


大野はあたしを引き寄せると、背中に腕を回して抱きしめてきた。



急な出来事にびっくりして、あたしの思考は完全停止。



そんな中、大野が話し始めた。



「俺さ、生まれつき天気を操れる力があるんだ」



「えっ?」



突然大野から告げられた事実に、驚いた。



「雨の街を晴れにする。雪を望む人がいれば雪を降らせることもできる」



「じゃあ、この雨を止ませることもできるの?」



「できる、けど…」



そこまで言って、大野は声を詰まらせた。



「けど」の続きが気になる。



しばらく経っても何も言わない大野に、あたしから聞いた。



「けど、何?」



それでも何も言わない大野。



あたしは顔を上げて大野の顔を見た。



「大野…?」



大野は、泣いていた。



「俺、天気を操れる代わりに、雨が降ってるとこじゃないと生きられないんだよ」



さっき大野が言っていた言葉「俺は雨じゃなきゃ生きていけないんだ!」の意味がやっとわかった。



「そうだったんだ…。私、何も知らずに余計なこと言っちゃった」



申し訳なくて、あたしまで涙が出てくる。



そんなあたしを見て、大野が微笑んだ。



「さっきも言っただろ?お前は悪くないって」



そう言って大野は、あたしの頭に手を置いた。



「泣くな。笑え」



そう言ってあたしの涙を親指で拭う大野。



そう言う大野だって泣いてるのに。



それからしばらくして、大野が口を開いた。



「この空が晴れたら、その時には俺はもういない」



そう言って切なく笑う彼に、あたしは何も言えなかった。