息を切らしながら、遠くまで来てしまった。
「はぁ疲れた」
辺り一面木しかなく、どこから来たのかわからないくらいだ。
まだ大野へのイライラはおさまらない。
あたしは、嫌なことを引きずってしまう自分が嫌いだ。
「でも、あれは大野が悪いんだから」
そう、いきなり怒鳴ってきた大野が悪い。
あたしは悪くない。
「大体ね、あたしと一緒にいるって言ったのは何処の誰よ」
あたしと一緒にいたいからって女子の誘いを断ったくせに、結局は喧嘩になって離れ離れ。
ほんと、変な奴。
傘をさして草を踏みながらぶつぶつと大野の文句を言い、行くあてもなく歩く。
てかあたし、何でこんなに大野のこと考えてしまうんだろう。
今までは喧嘩しても、相手のことなんか気にしないようにしてたのに。
しかも、大野との喧嘩は、何だか心苦しかった。
こんな気持ちになったのは初めてだった。
*
適当に歩いても、みんなの姿は見えない。
今頃班活動してるんだろうな。
そこにあたしと、多分大野もいない。
となると桃田さんと井原くんはふたりきりだ。
きっと今頃桃田さんは大野を探していることだろう。
あたしじゃなくて、大野を。
暗くなる前には戻らないと。
そう思っていたのに、中々みんなの元へ辿り着けずにいた。
「暗くなってきたな」
時間だけが過ぎていき、いつの間にか外は真っ暗に。
「お昼も食べてないし、もうお腹空いたよ…」
さっきからあたしのお腹がぐーぐー鳴っている。
流石にそろそろ戻らないと先生に怒られてしまうだろう。
だけど辺りは真っ暗で、ほとんど何も見えない。
スマホのライトを頼りにするしかなかった。
それから、歩き続けること10分。
木の家が見えた。
ここはキャンプ場で、実際に今でも宿泊宿として使われている家だ。

