あの夏、キミが描いた青空


次の日の朝、外は水たまりどころではないくらいに雨が溜まっている。



「これもう家の中入ってくるでしょ…」



あたしはそれが心配だった。



こんなにも雨が溜まっているのだから、もうそろそろ家の中に入ってきてもおかしくないのだ。



そして今日も頭が痛いけど、きっともう柏木さんたちにいじめられることはない。



そう思うと、少しだけ気が楽になった。







学校に着いて、自分の教室に向かう。



そして、最後の角を曲がろうとした時、後ろから誰かに腕を掴まれた。



「ひっ」



変な声が出てしまい、慌てて口元を覆う。



後ろにいるのは一体誰だろうか。



あたしは恐る恐る後ろを振り向いた。



すると、そこにいたのは…



「大野!?」



あたしの腕を掴んだのは、大野だった。



大野は黒いパーカーを着ていて、フードを被っていた。



まさに変質者。



「こんなところで何してるのよ」



今の大野の格好は、この学校の服装に適していない。



先生に見つかったら即没収だろう。



しかも、こんな夏にパーカーなんて…。



おかしすぎて笑いそうになる。



すると、じっとあたしを見つめていた大野が口を開いた。



「なぁ、今日さ、学校サボらねぇ?」



「は?」



何を言ってるんだか。



学校をサボるって…そんなことやって良いわけないでしょ。



あたしは断ろうとして口を開けたが、すぐに閉じた。



日々の学校生活に疲れが溜まっている。



よくよく考えたら、ずっと雨続きで、最近はあまり遊びにも行っていない。



今日くらい、いいのかな?



「そうだね。サボろうか」



私の返事を聞いた大野は、嬉しそうに微笑んだ。



何気に大野の笑う顔、初めて見たかも。



「そうと決まれば見つからないうちにここから出るぞ」



まだ朝早く、あまり人が登校してくる時間ではないため、あたしはすんなり生徒玄関に靴と傘を取りに行くことができた。



大野は職員玄関の、浅田先生の靴箱に靴を隠したみたいだ。



浅田先生はいつも昼から来る人だから、隠しものをしていてもバレる心配はない。



それをいいことに、みんな浅田先生の靴箱に隠すものだから、いつの間にか『早い者勝ち』と言われるようになった。



あたしは靴を履いて、大野と一緒に職員玄関から出た。



「雨だね」



あたしは空を見上げてつぶやいた。



「雨、嫌いか?」



「うん。嫌い」



大野の質問に、あたしは即答した。



「雨ってさ、気分下がるじゃん?傘持つのもめんどくさいし」



人が多いところだと傘がぶつかるし、尚更ね。



「やっぱり雨が好きな奴なんていないよな」



そう言って大野は俯いた。







結局大野とはあたしの家の前で別れた。



悲しそうに俯く彼と、これ以上一緒にいてはいけない気がしたからだ。



学校に行って何もせず、大野に家まで送ってもらっただけ。



意味のわからない行動だったが、まあいいとしよう。



お母さんも朝早くから仕事に行ったし、家にひとりは快適だ。



もう一度学校に行くのも面倒だし、今日は休もうかな。



あたしはベッドに横になると、すぐに眠気が襲ってきて、すぐに寝てしまった。