あの夏、キミが描いた青空

大野に、人をいじめているところを見られてしまったからだ。


「お前ら、何してんだよ」


息を切らした大野が冷たい声で言い放ち、柏木さんを睨みつける。


「あっ、いや…琥珀くん、これは違うの」


大野を前に、急に態度を変えた柏木さん。


飯田さんはアイロンを置いて震えている。


石塚さんは録画を止め、スマホを閉じた。


「お前らのやってること、普通に最低だから」


そう言って大野は、目の前にいる柏木さんを睨んだ。


「だって…高木が!」


柏木さんは、そこまで言われてもまだ言い訳をしようとしている。


「高木がなんだよ」


大野が聞くと、一瞬口を閉じた。


そして、また開いた。


「だいたい、高木が琥珀くんに近づくのが悪いのよ!私の琥珀くんなのに!琥珀くんも嫌なら嫌って言わないと!」


必死に大野の目を見て訴える柏木さんは、相当大野のことが好きだったのだ。


それを聞いた大野は、血相を変えて叫んだ。


「俺はお前のじゃねぇ!」


その声の大きさには、ここにいる全員が驚いた。


そして大野はあたしの腕を掴んで、体育館を出た。


出る前、大野は振り向いてひとこと、


「高木は悪くねぇよ」


と、今までで一番低い声で柏木さんに言った。


「琥珀くん!琥珀くん!」


柏木さんはその場に座り込んで大野の名前を呼びながら泣きわめき、後のふたりは呆然とその場に立ち尽くしていたのだった。