あの夏、キミが描いた青空


「わかりました。何買ってこればいいですか?」



ついにあたしのお金まで使わせようとしてくることに腹が立ったが、あたしにはどうしようもできない。



「私がコーラ、直子がグレープファンタ、小雪がオレンジジュースで」



「はい…」



財布の中を見たが、これくらいなら買えそうだ。



さっさと買ってこよう。



そう思って教室を出ようとしたとき、飯田さんが



「追加でチョコも買ってきてー」



と叫んだ。



「えっ?」



あたしは咄嗟に声が出た。



するとそれを見た飯田さんが、



「えっじゃねぇーよ、はいだろ?」



と言ってきて、後のふたりとクラスにいる人たちが笑っている。



あたしは俯きながら教室を出て、近くの自販機へと向かった。



ここの自販機はふたつ並んでいて、ひとつはジュース、もうひとつはちょっとしたお菓子が売っている。



あたしは言われた通りのものを買って、教室に戻った。







今日も柏木さんたちにあれこれされて、散々な目にあった。



「はぁ…」



最近はため息ばかり出る。



あたしの心はもうボロボロだ。



だけどあたしは、決して体調不良以外で学校を休まなかった。



何故なら、女手ひとつであたしを育ててくれたお母さんに、これ以上心配をかけたくなかったから。



卒業するまであたしが耐えればいいだけ。



ただ、それだけのことなんだから。







朝、今日の天気もやっぱり雨だ。



今日も教室に入った瞬間から、いじめが始まった。



あたしの机に落書きがされていたのだ。



「バカ」「デブ」「クソ女」



色んなチクチク言葉が書かれていた。



あたしは雑巾を濡らして擦った。



それを見て、みんな笑っている。



いつの間にか女子だけでなく、男子まであたしを笑うようになったのだ。



そして、琴音ともだいぶ距離ができてしまった。



あれだけあたしと仲が良かった琴音だが、今はもう別の女子のグループに入っている。



楽しそうな笑い声。



あたしを笑う声。



いつの日か、あたしは孤独になってしまった。



必死に涙を堪えて、机の文字を消した。



何度も何度も擦って、やっとの思いで全部消えたのだった。