あたしはパスタ、琴音はサンドイッチを頼んだ。
待っている間、琴音と何を話そうかと考えていると、琴音が口を開いた。
「ねぇ、紗英って王子様と仲良いの?」
「大野と?」
確かに、群がる女子たちには一切反応しない大野だけど、あたしとは普通に話してくれる。
これは仲がいいって言えるのだろうか。
「うーん、どうだろう」
なんて返したらいいのかわからず、あたしは曖昧な返事をした。
「ふーん?でもさっき王子様と一緒にいたじゃん」
「えっ?」
大野はすぐ隠れたはずなのに、どうしてわかったのだろうか。
「王子様が紗英と保健室にいたこと、知ってるんだから」
どうやら琴音に気づかれていたみたいだ。
「それにさ、最近王子様と紗英、距離近くない?」
琴音は一体、何が言いたいのだろうか。
あたしは距離とかあまり気にしていないけど、周りから見たら近いように見えるのかな?
だとしたら勘違いされたくないし、もう少し距離を置くのも大切だ。
「そうかな?ただ喋ってるだけだけど」
そう言ってあたしは琴音から視線を外した。
すると琴音は真剣な表情で、
「こんなこと言うのもあれだけどさ…」
と背筋を伸ばして言ってきた。
「うん」
あたしは再び視線を琴音に向けた。
「もう、王子様と関わらないでくれるかな?」
「えっ?」
琴音の言葉が、一瞬理解できなかった。
大野と関わらないでって言ってるの?
別にあたしから関わりに行ってるわけではない。
大野から来るのだ。
それをどうやって…。
「私、王子様のことが本気で好きなの。だから邪魔しないでほしい、応援してほしい」
琴音はまっすぐあたしの目を見て言った。
「ね、私たち親友でしょ?お願い、私に協力して」
そう言ってあたしの前で手を合わせる琴音。
本当に大野のことが好きなんだと伝わった。
別にあたしは大野のことなんて、好きでもなければ興味もない。
「いいよ」
あたしには協力する以外の選択肢がなかったのだ。
あたしの返事を聞いた琴音は、ホッと胸を撫で下ろした。
「ありがとう。やっぱ持つべきは恋を応援してくれる友達だよね!」
琴音はいつの間にか来ていたサンドイッチを頬張っている。
「ほら、紗英も早くパスタ食べないと冷めちゃうよ?」
「あ、うん」
琴音に言われてパスタが来たことに気づいたあたしは、フォークにパスタを巻きつけて食べた。
「今日ね、学校でさ…」
こうして放課後に琴音とお喋りしながら外食するのは、何気に久しぶりで楽しかった。

