大野を追いかけて生徒玄関まで来ると、琴音がいた。
大野は琴音の姿を見て、隠れた。
あたしは大野から荷物を受け取って、琴音の方に向かった。
あたしが琴音に近づいていくと、足音に気づいた琴音が振り向いた。
「あっ、紗英、体調は?」
「もう大丈夫だよ」
「よかったー」
琴音が安心したように、一息ついた。
本当にあたしのこと心配してくれてたんだ。
あたしには心配させて申し訳ないという思いと、心配してくれたことに対する嬉しさがあった。
そして、琴音が「あっ」と声をあげた。
「駅前に新しくできたカフェ行かない?」
琴音と出かけるのは、何気に久しぶりだ。
「うん。いいよ」
あたしは琴音の誘いに乗った。
*
傘をさし、琴音とふたり並んで歩く。
駅前と言っても建物が多くてわからない。
あたしたちはスマホで地図を見ながら、「あっちじゃない?こっちじゃない?」と言いながら歩いた。
「あっ、あそこじゃない?」
ふたりとも方向音痴で地図を見ても場所がわからなかったが、やっと見つけた。
早速ドアを開けて中に入る。
お店の中は人が多かったが、運良くひとつだけ席が空いていた。
「空いてる!」
琴音は嬉しそうに席に行った。
あたしも琴音の後に続いて席に着いた。
「わぁ、美味しそう」
メニューを広げて、ふたりで目を輝かせている。
パスタ、ドリア、サラダ、ピザ…。
どれも美味しそうで、何を食べようか迷う。

