あの夏、キミが描いた青空


大野を追いかけて生徒玄関まで来ると、琴音がいた。



大野は琴音の姿を見て、隠れた。



あたしは大野から荷物を受け取って、琴音の方に向かった。



あたしが琴音に近づいていくと、足音に気づいた琴音が振り向いた。



「あっ、紗英、体調は?」



「もう大丈夫だよ」



「よかったー」



琴音が安心したように、一息ついた。



本当にあたしのこと心配してくれてたんだ。



あたしには心配させて申し訳ないという思いと、心配してくれたことに対する嬉しさがあった。



そして、琴音が「あっ」と声をあげた。



「駅前に新しくできたカフェ行かない?」



琴音と出かけるのは、何気に久しぶりだ。



「うん。いいよ」



あたしは琴音の誘いに乗った。







傘をさし、琴音とふたり並んで歩く。



駅前と言っても建物が多くてわからない。



あたしたちはスマホで地図を見ながら、「あっちじゃない?こっちじゃない?」と言いながら歩いた。



「あっ、あそこじゃない?」



ふたりとも方向音痴で地図を見ても場所がわからなかったが、やっと見つけた。



早速ドアを開けて中に入る。



お店の中は人が多かったが、運良くひとつだけ席が空いていた。



「空いてる!」



琴音は嬉しそうに席に行った。



あたしも琴音の後に続いて席に着いた。



「わぁ、美味しそう」



メニューを広げて、ふたりで目を輝かせている。



パスタ、ドリア、サラダ、ピザ…。



どれも美味しそうで、何を食べようか迷う。