目が覚めたとき、白い天井が見えた。
それと、何だか身体が重い。
違和感があるっていうか…。
あたしは首だけ起こすと、あるものを見た。
それは、あたしのお腹の上で伏せて寝ている大野だった。
何で大野がここに…。
「大野、大野!」
あたしは大野の肩を揺すった。
「…うるせーな」
大野が目を覚ました。
「人の上で寝ないの!」
あたしは軽く、大野の腕を叩いた。
「何だよ、せっかく運んでやったのに」
「えっ?」
大野がここまであたしを…?
「ごめん、重かったでしょ」
あたしは冗談交じりに聞いた。
「うん、重かった」
コイツはデリカシーのカケラもないな。
「ただお前を抱っこしただけで、いちいち女子がうるさかったわ」
そりゃあそうなるよね。
教室に戻ったら何か言われそうだ。
「つーかこれ、お前のスマホだろ?」
大野が手に持っていたのは、間違いなくあたしのスマホだった。
「私のスマホ…何で大野が?」
一体いつから持っていたのだろうか。
「さっきお前を持ち上げたとき落ちたんだよ」
あたしは大野からスマホを受け取った。
よく見ると、画面は割れていない。
「よかった」
と安心できたのも束の間。
大野は衝撃的なことを言ってきた。
「お前のスマホって、パスワードついてないんだな」
一瞬頭が混乱した。
確かにパスワードはついてないけど…。
どうして大野がそのことを知っているのか、それはただひとつ。
大野があたしのスマホを開いたのだ。
「ちょっと、あんた何勝手に私のスマホを!」
流石に見られたくなかったよ。
「別にいいだろ?見られて困るものでもあるのかよ」
「それはないけど…」
いや普通人のスマホ開くかな?
本当にコイツは…。
「このヘンタイ!」
そう言ってあたしは大野を突き飛ばした。
「いってぇ…。俺の連絡先登録しただけだ。いちいち大袈裟な奴だな」
大野は「チッ」と舌打ちをした。
ちょっと待って、大野の連絡先があたしのスマホの中に入ってるってこと?
連絡アプリを開くと、『大野琥珀』という文字が。
あたしの知ってる大野はコイツしかいない。
「あんた勝手になんてことを…」
あたしはスマホを閉じて、ため息を吐いた。
「別に連絡先くらいいいだろ?元気になったならさっさと帰るぞ」
そう言われて時計を見ると、まもなく最終下校の時間だった。
あたし、何時間寝てたのよ…。
「ほら行くぞ」
大野はあたしの荷物を抱えて保健室を出た。
「もう!待って!」
あたしも大野の後に続いて、保健室を出た。

