ミラー☆みらくる!

 でも、不思議な感覚が心の奥にある。
 入れ替わる前までは鳴海のことなんて、本当にただただムカつくやつだったのに、今はそこまでじゃないってこと。
 そりゃあ入れ替わってから様子を見ていたから、鳴海がただの意地悪じゃないってことはわかったけどさ。
 それでもそれだけじゃ説明つかない気持ちがある。
 これはきっと、リナの影響なんだろうな。
 リナの気持ち全てに塗り替えられたわけじゃないけれど、心の奥で少しずつ、色んな気持ちの変化がある。
 そして、リナの言葉を思い出すの。

「ずっと傍にいる」って。

 あれって多分、どんなかたちであれ見守ってくれているってことだよね。
 リナが完全に消えてしまった瞬間、悲しくて悲しくてしかたがなかったけれど、泣き疲れた頃に、心の奥で温かいものを感じたんだ。
 その時に気づいたの。リナ、ここにいるんだって。
 そう思ったら、悲しい気持ちも落ち着いてきた。
 もちろん、今でも淋しいとは思ってしまうけれど、それよりも誰より強い味方が、すぐ傍にいてくれるんだって思ったら、頑張れる気がした。
 鳴海とだって、きっと……。

 タイミングよくSNSの通知が来たので確認すると、鳴海から『先に中に入っている』っていうメッセージだった。
 朝勉もだったけど、鳴海って時間厳守どころか、時間前行動が徹底しているんだなぁ。
 返事を打とうか迷ったものの、あたしももう店前まで着いていたので、返事は送らずそのまま店内に入ることにした。

 土曜日とはいえまだ十時前。それほど混んでいない店内を見渡しても鳴海はいなかった。
 このハンバーガーショップ一階はカウンター席しかないから二階に行ってみる。
 鳴海は……と探してみれば、窓際奥の角席で、外を眺めていた。
 そういえば朝勉の時にもそんな様子見せていたっけ。
 景色を見ているのか、ぼぉっとしているのかは、わかんないけどね。

「おまたせ」
 向かいの席に座ると、ハッと窓からあたしの方へと意識と視線を向けた。
 戸惑っているようでありながら、まじまじとあたしの顔を見る。

「……なに?」
「いや……」
 そういえば泣きはらした目をしているから、それが気になったのかな。
 テーブルの上にはドリンクと、自分の勉強用か、あたしに用意をしてくれているのか、ノートが置いてあった。

「勉強……の前に、説明した方がいいよね」
「そうしてくれると、助かる」
「って言っても、なんて説明したらいいんだろうね」
 リナとのお別れについては、あたしたちのことだから話したくはない。
 鳴海に話せるのは状況だけなんだけど。

「リナは、もういないよ」
「……端折り過ぎじゃないか?」
「だって事実としては、それがすべてだもん」
 確かにちょっと突き放したような言い方にはなっちゃったかもしれないけどね。
 鳴海は驚いた顔をしながらも、大きくため息をついた。