逆らう気力もなく、引っ張られるままについていったその先は、保健室だった。
ココンッと、リズミカルにノックして返事も待たずに入っていく。
「ちょっ、鳴海?」
なんで保健室? 保健室なんて入学してから一回も行ったことないんだけど。
「へーき。だって養護の先生、俺の叔母さんだから」
「え!?」
「遥人~? 学校で叔母さんはやめてよね」
戸棚の整理をしていたらしい白衣の女性が振り返って微笑んだ。
小柄で可愛らしい女性は、言われてみれば目元が鳴海に似ているような気も……。
「やだっ。遥ちゃんったら、朝から女の子を連れてくるなんて」
「そうじゃねーよっ! ちょっと落ち着かせたかったから人が来ない場所に来たかっただけっ」
「あー……なるほどね」
養護の先生は、わたしの顔を見て、なるほどと頷いた。
そうだよね。これだけ泣きはらした顔していれば、なんとなく気まずいのは察してくれるよね。
「でさ、ここだっていつ誰がくるかわかんねーじゃん」
「遥人、私に職権乱用しろっていうの?」
「何かあった時の相談室なんだろう?」
「んもうっ。可愛くないわね、本当に……今回は特別よ」
わたしにはわからない会話が成立しているのを、ただぼぉーっと見ていたら、養護の先生が冷蔵庫から保冷剤を出して小さなハンドタオルに包んでくれた。
「とりあえず、これで冷やしておきましょうね」
「あ、ありがとうございます」
「いいえー。じゃあ、行きましょうか」
ニッコリ微笑む養護の先生は、そのまま保健室から出てしまった。
「ほら、行くぞ」
繋がれたままの手を引っ張られて、鳴海と一緒に保健室を後にした。
保健室は校舎の角にあるんだけど、向かいのドアがプレハブに繋がっている。
そのプレハブには相談室と会議室があった。
相談室というのは週に一度カウンセラーさんが来た時に使う部屋らしいんだけど、莉菜もそんな部屋があるらしいくらいのことしか知らない。
はじめて入ったその部屋は、普段の教室とはちょっと違った。
部屋の角に先生の机らしいものはあるけれど、ゆったりとしたソファが二つ、向かい合わせで並んでいる。
その間にはテーブルがあって、そこだけ見たら普通のリビングと思うくらい。
「今日はカウンセリングの日じゃないから、落ち着くまでゆっくりして大丈夫よ」
「サンキュ。叔母さん」
「だから学校ではちゃんと先生って言いなさい―っ。じゃ、部屋出るときには保健室に声かけてね」
それだけ言って養護の先生は帰っていった。
静まり返った部屋の中、鳴海と二人きりでどうしたらいいのかわからない。
突然の展開に、涙はすっかり止まってしまった。
ココンッと、リズミカルにノックして返事も待たずに入っていく。
「ちょっ、鳴海?」
なんで保健室? 保健室なんて入学してから一回も行ったことないんだけど。
「へーき。だって養護の先生、俺の叔母さんだから」
「え!?」
「遥人~? 学校で叔母さんはやめてよね」
戸棚の整理をしていたらしい白衣の女性が振り返って微笑んだ。
小柄で可愛らしい女性は、言われてみれば目元が鳴海に似ているような気も……。
「やだっ。遥ちゃんったら、朝から女の子を連れてくるなんて」
「そうじゃねーよっ! ちょっと落ち着かせたかったから人が来ない場所に来たかっただけっ」
「あー……なるほどね」
養護の先生は、わたしの顔を見て、なるほどと頷いた。
そうだよね。これだけ泣きはらした顔していれば、なんとなく気まずいのは察してくれるよね。
「でさ、ここだっていつ誰がくるかわかんねーじゃん」
「遥人、私に職権乱用しろっていうの?」
「何かあった時の相談室なんだろう?」
「んもうっ。可愛くないわね、本当に……今回は特別よ」
わたしにはわからない会話が成立しているのを、ただぼぉーっと見ていたら、養護の先生が冷蔵庫から保冷剤を出して小さなハンドタオルに包んでくれた。
「とりあえず、これで冷やしておきましょうね」
「あ、ありがとうございます」
「いいえー。じゃあ、行きましょうか」
ニッコリ微笑む養護の先生は、そのまま保健室から出てしまった。
「ほら、行くぞ」
繋がれたままの手を引っ張られて、鳴海と一緒に保健室を後にした。
保健室は校舎の角にあるんだけど、向かいのドアがプレハブに繋がっている。
そのプレハブには相談室と会議室があった。
相談室というのは週に一度カウンセラーさんが来た時に使う部屋らしいんだけど、莉菜もそんな部屋があるらしいくらいのことしか知らない。
はじめて入ったその部屋は、普段の教室とはちょっと違った。
部屋の角に先生の机らしいものはあるけれど、ゆったりとしたソファが二つ、向かい合わせで並んでいる。
その間にはテーブルがあって、そこだけ見たら普通のリビングと思うくらい。
「今日はカウンセリングの日じゃないから、落ち着くまでゆっくりして大丈夫よ」
「サンキュ。叔母さん」
「だから学校ではちゃんと先生って言いなさい―っ。じゃ、部屋出るときには保健室に声かけてね」
それだけ言って養護の先生は帰っていった。
静まり返った部屋の中、鳴海と二人きりでどうしたらいいのかわからない。
突然の展開に、涙はすっかり止まってしまった。

