ピピッ、ピピッとアラームが鳴っているのを、ベッドに座って聞いている。
止めなくちゃいけないのに、身体が動かない。
この瞬間から、最後の一日が始まってしまう。
今日が終われば、わたしはまた【鏡の部屋】に戻ることになる。
色彩も五感もない、ただの空間に。
だけど、悲しい終わりになんてしたくない。
突然の入れ替わりではじまった思いがけない現実世界での生活を、最後の一秒まで思いっきり楽しむんだ。
パンッと、気合を入れてアラームを止めた。
音が鳴りやんだ瞬間に、いつもより静かだと思う。
アラームが止まったから? ううん、なにかが違う。
本能的に窓のカーテンを開いたら、外は雨が降っていた。
「雨、かぁ」
入れ替わってから、はじめての雨だ。
窓ガラスに斜め模様を作りながら、細かな雨が当たっていく。
昨日の莉菜は、嵐のように泣いていた。
あんな風に泣いているのをはじめて見た。
そのことが繋がれなかった間、相当不安だったし、怖かったんだろうと伝わってくる。
不謹慎だけどあの時、泣いている莉菜の涙が綺麗だなって、思った。
ぽろぽろと零れていく粒がキラキラと輝いているように見えて、あの涙が莉菜の素直になれない部分とか、憂鬱な気分を洗い流したんじゃないかなって。
勝手な考えだけど、そう思ったんだ。
涙がそうやって人の心を洗い流すのなら、雨はなにを洗い流しているのかな?
莉菜の涙を見てもわたしは一粒も零れなかった。
この身体は実体がありそうで実は中身空っぽなのかな。
涙も、血もなかったりして。
あんなに不安がっている莉菜にもう一日このままでいさせてなんて、残酷なことを言えるんだもん。
それでさえ、どこかで割り切れていない自分の心。
この雨が、涙じゃなく未練とか、そういうものを洗い流してくれたらいいのにな。
「莉菜ーっ。ご飯できたわよー」
階下から呼ぶお母さんの声に、グルグルしていた気持ちに蓋をする。
「はぁい」
ちょっぴり悲しくなってしまうのも、雨のせいなのかな?
いけない。最後の朝ごはん、しっかり味わわないとね。
リビングへと駆け下りるとテーブルにはいつも通り朝食がセットされていた。
止めなくちゃいけないのに、身体が動かない。
この瞬間から、最後の一日が始まってしまう。
今日が終われば、わたしはまた【鏡の部屋】に戻ることになる。
色彩も五感もない、ただの空間に。
だけど、悲しい終わりになんてしたくない。
突然の入れ替わりではじまった思いがけない現実世界での生活を、最後の一秒まで思いっきり楽しむんだ。
パンッと、気合を入れてアラームを止めた。
音が鳴りやんだ瞬間に、いつもより静かだと思う。
アラームが止まったから? ううん、なにかが違う。
本能的に窓のカーテンを開いたら、外は雨が降っていた。
「雨、かぁ」
入れ替わってから、はじめての雨だ。
窓ガラスに斜め模様を作りながら、細かな雨が当たっていく。
昨日の莉菜は、嵐のように泣いていた。
あんな風に泣いているのをはじめて見た。
そのことが繋がれなかった間、相当不安だったし、怖かったんだろうと伝わってくる。
不謹慎だけどあの時、泣いている莉菜の涙が綺麗だなって、思った。
ぽろぽろと零れていく粒がキラキラと輝いているように見えて、あの涙が莉菜の素直になれない部分とか、憂鬱な気分を洗い流したんじゃないかなって。
勝手な考えだけど、そう思ったんだ。
涙がそうやって人の心を洗い流すのなら、雨はなにを洗い流しているのかな?
莉菜の涙を見てもわたしは一粒も零れなかった。
この身体は実体がありそうで実は中身空っぽなのかな。
涙も、血もなかったりして。
あんなに不安がっている莉菜にもう一日このままでいさせてなんて、残酷なことを言えるんだもん。
それでさえ、どこかで割り切れていない自分の心。
この雨が、涙じゃなく未練とか、そういうものを洗い流してくれたらいいのにな。
「莉菜ーっ。ご飯できたわよー」
階下から呼ぶお母さんの声に、グルグルしていた気持ちに蓋をする。
「はぁい」
ちょっぴり悲しくなってしまうのも、雨のせいなのかな?
いけない。最後の朝ごはん、しっかり味わわないとね。
リビングへと駆け下りるとテーブルにはいつも通り朝食がセットされていた。

