『さっきもあたしは必死にリナの声に答えているのに、リナには全く聞こえてなかったみたいで』
「莉菜、返事してたの?」
『うん。なのに聞こえていなくて。こっちであたしが必死に呼びかけて鏡を叩いたりしているのに、それがまったくリナに伝わっていなくて』
「鏡を、叩いた……?」
そんな衝撃は、こっちにはまったく伝わらなかった。
鏡は、驚くくらい普通の鏡としてそこにあったから。
『そしたらあたし、怖くなったの。このまま繋がらなかったら、あたしはどうなるの? って。もうっ、戻れないんじゃないかって!』
莉菜が自分の身体を抱きしめるようにしながら、震えて泣いている。
もとから【鏡の部屋】にいたわたしとは違う。
莉菜は現実世界が本来の居場所で、交信が出来るのが当たり前だと思っていたのだから。
それができない間、どれだけ不安だったんだろう。
わたしが昨日から色々楽しいと思っている間に、莉菜は孤独に怯えていたんだ。
「ごめん、気づいてあげられなくて」
この現実世界は莉菜のものだとわかっていたはずなのに、わたしはどこかで自分もこのままここにいたいって思ってしまっていた。
楽しくて、もっともっと色々知りたい、感じたいって。
だけどそれは、許されることじゃない。
わたしがここにいるというのは、本来この世界にいるべき莉菜を追い出してしまっているんだ。
今のこの時間は入れ替わりのひとときの夢だってことを、わかっているようで、忘れてしまっていた。
それによってまさか、繋がらなくなっていたとは思いもしなかった。
莉菜が不安で泣いてしまうのは当然だよね。
『あたしね、最初は楽しかったの。信じられない体験ができたこと。そしてテストから解放されたこと』
「そうだね」
入れ替わったとこに目をキラキラさせていたことを、思い出した。
確かに、あの時の莉菜は楽しそうだった。
『なにも考えてなかったの。その気になればいつでも戻れるんだからって、そう思ってたの。それなのに……』
わたしが【鏡の部屋】にいたころは、繋がらないのが当たり前だった。
呼びかけようなんて思いもしなかったのもあるけれど、あの時、もし呼びかけていたら繋がったのかな?
……ううん。繋がらない気がする。
莉菜はいつも現実世界を楽しんでいて、わたしの存在なんて知らなかったんだし。
知っていたら、違ったのかな?
繋がったきっかけ、繋がらない理由って……。
待って。さっき莉菜は『その気になれば』って言ってた。
「莉菜。もしかして最初の入れ替わりの後に戻ろうって試した時、あなた、戻る気が、なかったの?」
怯えるように身体を小さくふるわせた後、こくん、と頷いた。
つまり莉菜自身に戻るつもりがなかったら、元に戻ることはできなかったんだ。
最初に繋がった時、わたしははじめて代わってあげたいって思った。
莉菜は現実に嫌気をさしていた。
昨日から今日にかけては、莉菜がどんなにわたしに呼びかけても、わたしが現実世界に意識を集中していて鏡には向いていなかった。
繋がるには、両方の気持ちが近づかないといけないってことなのかな。
だとすると、莉菜が戻りたいと思っている今なら、戻れるってこと?
「莉菜、返事してたの?」
『うん。なのに聞こえていなくて。こっちであたしが必死に呼びかけて鏡を叩いたりしているのに、それがまったくリナに伝わっていなくて』
「鏡を、叩いた……?」
そんな衝撃は、こっちにはまったく伝わらなかった。
鏡は、驚くくらい普通の鏡としてそこにあったから。
『そしたらあたし、怖くなったの。このまま繋がらなかったら、あたしはどうなるの? って。もうっ、戻れないんじゃないかって!』
莉菜が自分の身体を抱きしめるようにしながら、震えて泣いている。
もとから【鏡の部屋】にいたわたしとは違う。
莉菜は現実世界が本来の居場所で、交信が出来るのが当たり前だと思っていたのだから。
それができない間、どれだけ不安だったんだろう。
わたしが昨日から色々楽しいと思っている間に、莉菜は孤独に怯えていたんだ。
「ごめん、気づいてあげられなくて」
この現実世界は莉菜のものだとわかっていたはずなのに、わたしはどこかで自分もこのままここにいたいって思ってしまっていた。
楽しくて、もっともっと色々知りたい、感じたいって。
だけどそれは、許されることじゃない。
わたしがここにいるというのは、本来この世界にいるべき莉菜を追い出してしまっているんだ。
今のこの時間は入れ替わりのひとときの夢だってことを、わかっているようで、忘れてしまっていた。
それによってまさか、繋がらなくなっていたとは思いもしなかった。
莉菜が不安で泣いてしまうのは当然だよね。
『あたしね、最初は楽しかったの。信じられない体験ができたこと。そしてテストから解放されたこと』
「そうだね」
入れ替わったとこに目をキラキラさせていたことを、思い出した。
確かに、あの時の莉菜は楽しそうだった。
『なにも考えてなかったの。その気になればいつでも戻れるんだからって、そう思ってたの。それなのに……』
わたしが【鏡の部屋】にいたころは、繋がらないのが当たり前だった。
呼びかけようなんて思いもしなかったのもあるけれど、あの時、もし呼びかけていたら繋がったのかな?
……ううん。繋がらない気がする。
莉菜はいつも現実世界を楽しんでいて、わたしの存在なんて知らなかったんだし。
知っていたら、違ったのかな?
繋がったきっかけ、繋がらない理由って……。
待って。さっき莉菜は『その気になれば』って言ってた。
「莉菜。もしかして最初の入れ替わりの後に戻ろうって試した時、あなた、戻る気が、なかったの?」
怯えるように身体を小さくふるわせた後、こくん、と頷いた。
つまり莉菜自身に戻るつもりがなかったら、元に戻ることはできなかったんだ。
最初に繋がった時、わたしははじめて代わってあげたいって思った。
莉菜は現実に嫌気をさしていた。
昨日から今日にかけては、莉菜がどんなにわたしに呼びかけても、わたしが現実世界に意識を集中していて鏡には向いていなかった。
繋がるには、両方の気持ちが近づかないといけないってことなのかな。
だとすると、莉菜が戻りたいと思っている今なら、戻れるってこと?

