「すごいね」
素直にそう思って口にすると、鳴海が驚いたようにこちらを見た。
「なに?」
「いや……」
何故か目を逸らされた後、考え込むようにして黙っちゃった。
なんか変なこと言った? わたし。
そう思いながらも鳴海がなにも言わないから、わたしもそれ以上はなにも言えず、ただひたすらに問題と向き合った。
勉強が楽しい。
きっと今までの莉菜だったらそんなこと思いもしなかった。
嫌いという先入観が先にあったせいなのか、それとも難しいと思った時点で挫折してしまったからなのか。
それとも、楽しいと思えるのは鳴海の教え方が上手なのかな?
昼休み、鳴海がまとめたノートを机の上に広げると、隣に座った芹香ちゃんも覗き込む。
昨日の計算問題で間違えた原因を、わかりやすく書いてくれていた。
通信教育の先生より丁寧なんじゃないかな。
「あそこの兄弟って、こういうところがマメなんだよね」
「そうなの?」
「竣人さんはね、『まとめることで自分の頭に理解が深まるんだよ』なんて言ってたけど」
「鳴海も朝、似たようなこと言ってた。復習になって自分のためになっているって」
「似てるー、あの兄弟」
ケラケラと芹香ちゃんが笑うから、つられてわたしも笑ってしまう。
「ま、遥人のはそれを更に莉菜用にわかりやすく丁寧に読みやすくしてるよね。ほんと、手がかかってるし、あい……」
「余計なこと言ってるんじゃねーよ」
芹香ちゃんの言葉を遮るように鳴海がノートの上に、勢いよく別のノートを叩きつけるように置いた。
「アニキからだよ。『愛されている』芹香にな」
瞬間、芹香ちゃんは置かれたノートを奪うように自分の顔に引き寄せて隠れてしまった。
その様子を見て鳴海は、してやったりな顔をしている。
この二人の空気感、本当に仲がいいんだよね。
昨日、芹香ちゃんから聞いているから、付き合っているのは鳴海のお兄ちゃんだって知ってるけど、知らなかったらわたしはふたりが付き合ってるって思ったかもしれない。
……そう、思うことが不思議に思えた。
だって、昨日までは恋そのものに興味がないくらいだったのに。
たった一日。昨日、芹香ちゃんの話を聞いただけなのに、なんだか恋というものが一気に身近になった気がする。
すみれちゃんと益子くんが付き合っているって聞いてもビックリしただけで、それに対してどうという感情はなかったのに。
芹香ちゃんから聞いた竣人さんの話の密度が多かったからかな。
勉強より恋を詰め込んでしまったのかもしれない。
「なぁに? 莉菜。じーっとこっちを見てきて」
鳴海とじゃれあっていたのに、わたしの視線に気づいて芹香ちゃんがこっちを見る。
「ううん。仲いいなと思って」
「まぁ、腐れ縁だからね」
ペアワークするようになって鳴海と一緒の時間が増えたけど、芹香ちゃんと鳴海みたいな距離感にはなれそうにない。
芹香ちゃんみたいな?
なんでそんなこと思ったんだろう。
そりゃあちょっとは鳴海のことイイやつだと見直したけど、だからって仲良くなりたいなんて……。
ふと鳴海の方を見たらバッチリと目が合った。はずなのに、鳴海はサッと逸らして自分の席へと行ってしまった。
やっぱりね。わたしとの関係なんてそんなもんだよ。
納得しているはずなのに、どこかでチクンと小さな痛みを感じた。
素直にそう思って口にすると、鳴海が驚いたようにこちらを見た。
「なに?」
「いや……」
何故か目を逸らされた後、考え込むようにして黙っちゃった。
なんか変なこと言った? わたし。
そう思いながらも鳴海がなにも言わないから、わたしもそれ以上はなにも言えず、ただひたすらに問題と向き合った。
勉強が楽しい。
きっと今までの莉菜だったらそんなこと思いもしなかった。
嫌いという先入観が先にあったせいなのか、それとも難しいと思った時点で挫折してしまったからなのか。
それとも、楽しいと思えるのは鳴海の教え方が上手なのかな?
昼休み、鳴海がまとめたノートを机の上に広げると、隣に座った芹香ちゃんも覗き込む。
昨日の計算問題で間違えた原因を、わかりやすく書いてくれていた。
通信教育の先生より丁寧なんじゃないかな。
「あそこの兄弟って、こういうところがマメなんだよね」
「そうなの?」
「竣人さんはね、『まとめることで自分の頭に理解が深まるんだよ』なんて言ってたけど」
「鳴海も朝、似たようなこと言ってた。復習になって自分のためになっているって」
「似てるー、あの兄弟」
ケラケラと芹香ちゃんが笑うから、つられてわたしも笑ってしまう。
「ま、遥人のはそれを更に莉菜用にわかりやすく丁寧に読みやすくしてるよね。ほんと、手がかかってるし、あい……」
「余計なこと言ってるんじゃねーよ」
芹香ちゃんの言葉を遮るように鳴海がノートの上に、勢いよく別のノートを叩きつけるように置いた。
「アニキからだよ。『愛されている』芹香にな」
瞬間、芹香ちゃんは置かれたノートを奪うように自分の顔に引き寄せて隠れてしまった。
その様子を見て鳴海は、してやったりな顔をしている。
この二人の空気感、本当に仲がいいんだよね。
昨日、芹香ちゃんから聞いているから、付き合っているのは鳴海のお兄ちゃんだって知ってるけど、知らなかったらわたしはふたりが付き合ってるって思ったかもしれない。
……そう、思うことが不思議に思えた。
だって、昨日までは恋そのものに興味がないくらいだったのに。
たった一日。昨日、芹香ちゃんの話を聞いただけなのに、なんだか恋というものが一気に身近になった気がする。
すみれちゃんと益子くんが付き合っているって聞いてもビックリしただけで、それに対してどうという感情はなかったのに。
芹香ちゃんから聞いた竣人さんの話の密度が多かったからかな。
勉強より恋を詰め込んでしまったのかもしれない。
「なぁに? 莉菜。じーっとこっちを見てきて」
鳴海とじゃれあっていたのに、わたしの視線に気づいて芹香ちゃんがこっちを見る。
「ううん。仲いいなと思って」
「まぁ、腐れ縁だからね」
ペアワークするようになって鳴海と一緒の時間が増えたけど、芹香ちゃんと鳴海みたいな距離感にはなれそうにない。
芹香ちゃんみたいな?
なんでそんなこと思ったんだろう。
そりゃあちょっとは鳴海のことイイやつだと見直したけど、だからって仲良くなりたいなんて……。
ふと鳴海の方を見たらバッチリと目が合った。はずなのに、鳴海はサッと逸らして自分の席へと行ってしまった。
やっぱりね。わたしとの関係なんてそんなもんだよ。
納得しているはずなのに、どこかでチクンと小さな痛みを感じた。

