すみれちゃんが益子くんと付き合っていると話してくれた時も、ビックリはしたけれどそうなんだーというくらいの気持ちだった。
でも芹香ちゃんは今まで恋バナしてこなかった分、こういう話を聞くのも新鮮だし照れる表情を見るのもはじめて。
「恋、ね。私も前はそう思っていたよ。彼、竣人さんはね、私や遥人の三つ上で、今高校一年生なの」
中学生になったばかりのわたしたちから見れば、高校生は大人に見える。
莉菜の通学風景を覗いていると高校生も見かけるけれど、同じような制服着ていても雰囲気が違う。
たった三年。それでもその間の差は大きいと思った。
「遥人と私は、家が近所で物心ついたころからお互いの家に行きあうくらい家族ぐるみで仲がいいのね。ちっちゃい頃はよく喧嘩して、二人とも大泣きしたりして、そんな私たちと一緒に遊んでくれたりなだめたりしてくれるのが、竣人さん、竣にいだったの」
竣にいという呼び方に距離の近さを感じる。
「泣いてたのは芹香だろう」
「莉菜が当時を知らないからってカッコつけるんじゃないわよ。竣にいからみたら、私たちなんてどっちもどっちだったんだから」
思い出すようにクスクスッと笑う芹香ちゃんと、ちょっと不貞腐れたように横を向く鳴海は、本当に小さい頃から一緒にいたんだなぁ。
莉菜には幼なじみと呼べる間柄がいないから、その距離感も新鮮に思う。
「だから竣にいは、ずっとお兄ちゃんだった。頼りになって自慢で。特に運動会のリレーや学校対抗の陸上選抜のメンバーに選ばれたりして、応援に行ったときは、本当の妹じゃないのに鼻が高かった」
「それで、好きになったの?」
「ううん。その時はまだ自慢のお兄ちゃんだった。変わったのは私が五年生の時にね、学校対抗の陸上選抜に百メートル走で選ばれたんだ」
学校対抗の陸上選抜は年に一回、この辺の小学校対抗で行われている。
他の地区ではわからないけど、莉菜の小学校では体力測定の時の五十メートル走上位者が、学校対抗の陸上選抜メンバーに選ばれていた。莉菜はその時はそれなりに早かったけど、陸上に本気じゃなかったから選ばれたことがなかったっけ。
「竣にいが出てた大会でもあったし、せっかく選ばれたから頑張りたかったんだけどね。私、本番にこけちゃったの」
「あぁ……」
転んだ時の痛みと色んな感情が想像できちゃって、思わず顔をしかめたのが自分でわかる。
そんなわたしをみて、芹香ちゃんが共感するように苦笑いした。
「痛いし、恥ずかしいし、悔しいし。なんとかゴールはしたけれど、そのまま競技場の裏まで逃げ込んでね。一人で大泣きしたの」
「うん、わかるよ」
多分、同じ状況になったら莉菜もそうしたと思う。
きっと芹香ちゃんの前でも泣かないんじゃないかな。
「そこにね、竣にいが来たの。私は恥ずかしくて膝を抱えたまま顔を上げられなかったのに、なにも言わないでずっと肩を優しく叩いてくれてね。その手のひらからじんわりとあたたかい気持ちが伝わってきて……」
そこまで話してその場面を思い出したのか、芹香ちゃんの顔が一気にブワッと赤くなった。
でも芹香ちゃんは今まで恋バナしてこなかった分、こういう話を聞くのも新鮮だし照れる表情を見るのもはじめて。
「恋、ね。私も前はそう思っていたよ。彼、竣人さんはね、私や遥人の三つ上で、今高校一年生なの」
中学生になったばかりのわたしたちから見れば、高校生は大人に見える。
莉菜の通学風景を覗いていると高校生も見かけるけれど、同じような制服着ていても雰囲気が違う。
たった三年。それでもその間の差は大きいと思った。
「遥人と私は、家が近所で物心ついたころからお互いの家に行きあうくらい家族ぐるみで仲がいいのね。ちっちゃい頃はよく喧嘩して、二人とも大泣きしたりして、そんな私たちと一緒に遊んでくれたりなだめたりしてくれるのが、竣人さん、竣にいだったの」
竣にいという呼び方に距離の近さを感じる。
「泣いてたのは芹香だろう」
「莉菜が当時を知らないからってカッコつけるんじゃないわよ。竣にいからみたら、私たちなんてどっちもどっちだったんだから」
思い出すようにクスクスッと笑う芹香ちゃんと、ちょっと不貞腐れたように横を向く鳴海は、本当に小さい頃から一緒にいたんだなぁ。
莉菜には幼なじみと呼べる間柄がいないから、その距離感も新鮮に思う。
「だから竣にいは、ずっとお兄ちゃんだった。頼りになって自慢で。特に運動会のリレーや学校対抗の陸上選抜のメンバーに選ばれたりして、応援に行ったときは、本当の妹じゃないのに鼻が高かった」
「それで、好きになったの?」
「ううん。その時はまだ自慢のお兄ちゃんだった。変わったのは私が五年生の時にね、学校対抗の陸上選抜に百メートル走で選ばれたんだ」
学校対抗の陸上選抜は年に一回、この辺の小学校対抗で行われている。
他の地区ではわからないけど、莉菜の小学校では体力測定の時の五十メートル走上位者が、学校対抗の陸上選抜メンバーに選ばれていた。莉菜はその時はそれなりに早かったけど、陸上に本気じゃなかったから選ばれたことがなかったっけ。
「竣にいが出てた大会でもあったし、せっかく選ばれたから頑張りたかったんだけどね。私、本番にこけちゃったの」
「あぁ……」
転んだ時の痛みと色んな感情が想像できちゃって、思わず顔をしかめたのが自分でわかる。
そんなわたしをみて、芹香ちゃんが共感するように苦笑いした。
「痛いし、恥ずかしいし、悔しいし。なんとかゴールはしたけれど、そのまま競技場の裏まで逃げ込んでね。一人で大泣きしたの」
「うん、わかるよ」
多分、同じ状況になったら莉菜もそうしたと思う。
きっと芹香ちゃんの前でも泣かないんじゃないかな。
「そこにね、竣にいが来たの。私は恥ずかしくて膝を抱えたまま顔を上げられなかったのに、なにも言わないでずっと肩を優しく叩いてくれてね。その手のひらからじんわりとあたたかい気持ちが伝わってきて……」
そこまで話してその場面を思い出したのか、芹香ちゃんの顔が一気にブワッと赤くなった。

