ミラー☆みらくる!

「さて、そこのバカが口滑らしちゃってごめんね」
「バカってなんだよ。話していない芹香が悪いんだろう」
「そうね。そこは本当にそう……莉菜、ごめんね」
 突然謝られて、わたしは大きく首を振った。

「そんなっ。話す話さないは芹香ちゃんの自由だし!……確かに、知らなかったのはビックリしたし、ちょっぴり淋しかったけど」
 中学に入ってからの友達だから、知り合ってからの月日はまだ短い。
 それでも芹香ちゃんは莉菜と大の仲良しだと思っている。
 そりゃあすべてを知っているとは言えない。それでもカレシがいることを知らなかったのは、少なからずショックだった。

「隠すつもりはなかったのよ。でも、なかなか話すタイミングがなかったんだ。だって莉菜とは恋バナなんてしたことがなかったじゃない?」
「だよね……」
 思い返しても芹香ちゃんとは、アニメとかアイドルとかドラマとか、そんな話ばかりだった。
 学校生活や友達について話したりしても、そこに”恋”は含まれていなかった。

 そもそも、莉菜ってその辺の認識がまだ育ってないっていうか。小六の修学旅行でも周りが恋バナで盛り上がっていても、莉菜自身は全然、好きとかなかったもんね。最初は面白がって聞いていたのに、最後はわからなくて寝落ちしちゃったっけ。
 バレンタインも友達と交換する行事で、男の子にあげるとか考えたことがなかった。

「いつもくだらない話してさ。それで笑って部活して、そんな毎日がすごく楽しかったんだ」
「普段のテンション考えると、恋バナって雰囲気なかったね」
 思わずクスッと笑ってしまう。
 前日のバラエティの話をしている雰囲気で恋バナなんて、できるわけないよね。
 これで莉菜に好きな人がいれば、また違ったんだろうけど。

「うん。でもそれって言い訳だったかな。莉菜を傷つけたかったわけじゃないから、遥人からばらされるくらいならもっと前に話しておけばよかった」
「俺が悪いのかよ」
「そうだよ、って言いたいんだけど違うよね。私が言えなかったんだ。なんか……気恥ずかしくてね」
 その言葉が嘘じゃないというのは、恥ずかしそうにしてほんのり染まった頬を手のひらで扇ぐ様子でわかる。
 短い付き合いとはいえ、そんな芹香ちゃんをみるのははじめてだ。

「芹香ちゃん、かわいい」
 思わず零れた言葉に、芹香ちゃんが過剰に反応した。

「なっ……面白がってるー⁉」
「違うよ。素直にそう思ったの。わたし、恋とかよくわからないから。恋をすると女の子はかわいくなるっていうけれど、芹香ちゃんみたらそうなんだなーって納得したっていうか」