あまりの大声で教室中の注目を浴びてしまったわたしは、「なんでもないです~」と愛想笑いを浮かべてみんなに謝った。
ぐるっと見渡したところで心配そうにこっちを見る芹香ちゃんと目が合うと、芹香ちゃんはこちらに駆け寄ってきた。
「どうしたの?」
「あ、えっと……」
なんて言ったらいいの?
芹香ちゃんにカレシがいることを知らなかったからビックリしたって?
しかも相手が鳴海のお兄ちゃんだなんて思いもしなかったって?
そもそもこれ、芹香ちゃんから聞いてないのに鳴海から聞いてよかった話!?
頭の中がグルグルといろんなことでいっぱいになっていると、鳴海が大きく息を吐いた。
「芹香が悪いんだろ。コイツになにも話さずノートだけ渡すから」
「ノート? あぁ、竣人さんのね。どうしてそれで叫び声……って、そっか」
バツが悪そうに芹香ちゃんが顔を隠すように俯く。
「俺もまさか話していないと思わなかったんだよ。悪かったな」
「ううん。遥人は悪くないよ。私が言ってなかったんだから」
わたしは完全蚊帳の外で、二人だけ通じ合った会話が進んでいく。
幼なじみだからなのかな? 二人の距離がすごく近く感じる。
「莉菜」
「ふぁいっ!」
二人の会話をぼぉっと聞いていて急に声かけられたから、思わず変な返事しちゃった。
そんなわたしに芹香ちゃんはクスクスと笑った。
「ごめんね。今はゆっくり話す時間ないし、こんなところでもなんだし。放課後、よかったらゆっくり話そう」
話はすごく聞きたい。だけど、鳴海との勉強が……。
チラッと鳴海に視線を送ると、ため息をつきながらも頷いた。
「もとは俺が余計なこと言ったせいだしな。その代わり宿題出すから、ちゃんとこなせよ」
「……うんっ!」
意地悪なヤツって思ってたけど、なんだかんだって鳴海はこっちのことも考えてくれるんだよね。
「よし、じゃあ切り替えろ。まだ自習時間あるからな。一問でも多く解け」
き、切り替え早っ!
そしてやっぱり鬼だぁーーっ。
だけどこれはやらなきゃいけないことだもんね! よし!
気合い入れて取り組んだ直後に、鳴海から「しょっぱなから違うっ!」って突っ込みが入った。
うぅ……マイナスひくカッコマイナスとか、よくわかんないよぉ。
一問ずつ鳴海から注意受けながら、必死にシャーペンを走らせた。

