ミラー☆みらくる!

「じゃあ、成果を見せてもらおうか」
 挑発的な目線を送られたので、俄然負けん気が発動する。

 よぉーっし! やってやろうじゃないのっ。
 鞄から筆箱を取り出して、気合十分に鳴海をにらみ返した。

 鳴海に出されたのはノートに書かれた小テストと同じ問題だった。
 これ、わざわざ用意してくれたってことだよね。
 思わず鳴海の顔を見ると、ちょっと照れくさそうに横を向いた。

「PCがあればちゃんと用意できたんだけどな。アニキが使ってて空いてなかったんだ。字が汚いとか文句言うなよ」
 字が汚いなんて言ってないのに。
 確かにノートの罫線からちょっとはみ出る豪快な部分もあるし、多分書き直しただろう消しゴムの跡も見える。
 意外に不器用なのかも。

「ふふっ」
「笑ってないでさっさと解け。制限時間あと五分」
「え? 短くない⁉」
「まったく同じ問題なんだから当たり前だろう」
「鬼ーーーーっ!」

 あーもうっ、笑ったりするんじゃなかった。
 せっかく勉強してきたんだから絶対に見返してやるんだもん。
 一問だって間違えてたまるかっ。
 そこからは集中して問題に取り組んだ。

「へぇ、ちゃんと勉強してきたんだな」
 たった五分とは言え、脳フル回転して覚えたものを書きだしたから、疲労感が半端ない。
 勉強って身体使わないのにこんなに疲れるんだね。

「でしょ? 超がんばったんだから!」
「とはいえ楠木の脳だからな。一度覚えたからって安心してると三日後には忘れてそう。毎朝、単語テストは続けるぞ」
「はいっ!」
 思わず気合い入れて返事をしたら、鳴海が目をぱちくりとさせて固まった。

「なに?」
「いや、素直でちょっと驚いてる」
「素直でいけない? 普段素直になれないのは鳴海が失礼なこと言うからでしょ。不器用とか、邪魔とか、芹香ちゃんに迷惑かけてるとか」
「どれも事実じゃねーか」

 ちょっとは鳴海のことイイヤツと思ったの台無し!
 せっかく前向きに話を聞いていたのに。

「なんでそんなに目の敵にするの? わたし、鳴海に何もしてないよね」
「目の敵ってなんだよ。事実だって言ってるだろう」
「邪魔って、言われるほど邪魔した覚えないんですけど」
「目の前ちょろちょろしてたから邪魔って言ってだけだろう」
「ストーーーーーーップ‼」

 思わずヒートアップしたわたしたちのやり取りに、芹香ちゃんが間に入ってきた。

「あれ? 芹香ちゃんいつきたの? おはよう」
「おはよう……って、あんたたちペアなんでしょ? なんで朝っぱらから喧嘩してるのよ」
「だって鳴海が!」
「俺は事実を言っただけだって言っただろう? じゃ、勉強の続きは放課後な。場所は楠木の席でいいよ」

 一方的に用件だけまくしたてて、鳴海は自分の席へと戻っていった。