両手いっぱいの大好きを。

ー私は、自覚している。

自分で言うのもあれだけど、可愛いってことを。

昼休み。陽晴ヶ丘中の昼休みは、何だかんだ長い方。

お弁当のおにぎりを、イメージを崩さないよう食べた後、隣のクラスの扉に歩み寄る。

鏡を見て前髪を整え、リップを塗って、柑橘系のいい匂いのハンドクリームをぬってから、
ドアノブに手をかけ、ガララと開ける。

その瞬間私に集まる、ほぼ全員の男子の目線。目がハートになってる人もちらほら。

でも私の目線は、たった1人に定まっている。

「虹ーっ!!ちょっと話そーよ!」

出来る限りの笑顔で名前を呼ぶけれど、彼が笑うことはない。

その度、胸がぎゅううっと締め付けられるように痛いけど、
また、いつか笑わせてやる、と覚悟も決める。

その時、胡依愛里清と目が合った。

彼女は、驚いて戸惑っているような表情だ。

まぁ、私から合わせに行ったからね。

「あ…愛里清ちゃんだ!ちょっと来て!」

「っ、う、うん…。」