両手いっぱいの、大好きを。

「え…」

「いるの?」

そう問い詰められ、私は答えた。

「いるよ…っ」

ードーン…ドーン……

私たちがこうしてる間も、花火は容赦なく打ち上がっていく。

「誰?」

「虹くんこそ、誰?」

そんなの分かってるけど、聞いておきたかった。

「じゃあ、話してあげる。俺の好きな人のこと。」

聞きたくなんかない。そう言いたかった。でも、言えない。そんなこと。

「ほんとに可愛くて、こないだなんて、男にナンパされてた。」

花美ちゃん、可愛いもんね…

「りんごあめとかわたあめとか食べてた。」

甘党なのか…もしや、仲よくなれたり…?

「常に一緒にいたいから、補習にも付き合うし、夏祭りにも誘う。」

心の中で、何だか覚えがあると思い始めた自分がいて。

「俺が好きなのは―――」

ードッドーン…

おそらく、フィナーレ。

大きな花火の音で、虹くんの好きな人の名前は聞こえなかった。

「虹ーっ!!!」

後ろからの泣きそうな大きな声。

その声の主は、分かってる―――。