両手いっぱいの、大好きを。

ーカランカラン、ズズズッ…

思ったより下駄は歩きづらく、早く家を出て良かったと心から思った。

下駄をカランカランと鳴らしながら、いつも歩く駅までの道を進む。

歩いてる最中も、虹くんの私服姿が目に浮かぶ。

かっこいいだろうなぁ…

私の浴衣は、薄い藤色や桜色、空色の紫陽花(あじさい)が描かれていて、とっても綺麗(きれい)

「うぅ…足痛いよ…」

ちょっと疲れた足を前へ前へと動かし、だんだん駅が見えるくらいまで来た。

熱く(のど)が渇いたので、駅前の自動販売機で桃味のジュースを買った。

駅に着いたけど、早く来すぎたせいか、虹くんの姿は見当たらなかった。

「いないなぁ…椅子は…あった」

綺麗な新品っぽいベンチに腰掛け、さっき買ったジュースを一口飲んだ。

「美味し〜」

美味しすぎて、つい口にしていた心の声。

その時だった―――