両手いっぱいの大好きを。

補習最終日、靴箱で上履きに履き替え、階段を抜き足差し足で上がっていくと、

思いもしなかった光景が目に入った。

「好きですっ、夏凪くん!」

なんと、誰か知らない女の子が、虹くんに告白しているのを見てしまったのだ。

目に焼き付けたその光景が、脳内で何度も何度もリピートされる。

え…嘘…

「っ………!」

ぎりぎり声を出すのをこらえた私。

虹くんがその女の子との距離を縮めていくのを見て、私は徐々に後ずさりを始めた。

階段の1段目手前に来たところで、私はそれに気付かず…

「……!きゃ…っ!?」

ードンッ、ガッ…

体制を崩してしまい、背中から踊り場まで転げ落ちてしまった。

しかし、本当に小声の悲鳴にこらえたおかげで、虹くんたちには気付かれなかった。

投げ出されたスクールバッグを手にとって、
残りの階段を駆け下りる私の目には、涙が浮かんでいる。

もう、夏祭りそろそろなのに…

時間ギリギリで教室入ろうかな…

その時、聞いてみよう。

『あの子は彼女なの?』ってー。