爆走令嬢アンナの「規格外」な無双劇 〜婚約破棄され失恋しましたが、私の物理(拳)でどうにかします〜

木から、わたしの頭に毛虫が落ちてきた。

パニックになって泣きそうになったところで、ゼノ様が手で掴んでポイッと芝生に投げてくれた。

『もう、大丈夫だよ』

彼はそう言って、よしよしとわたしの頭を優しく撫でてくれる。

ある日はお庭で鬼ごっこをしていた。

『わっ!』

足に石を引っ掛け転んでしまい、痛みで泣いてしまうわたし。

ゼノ様はすぐさまわたしに駆け寄ってきてくれた。

『アンナ、大丈夫?立てる?』

その声が、あまりにも優しくて。
その手が、あまりにも温かくて。

わたしはその手を取り立ち上がった。

『痛い?』

ゼノ様はわたしの擦りむいた膝を見てそう言う。

頷くと、彼はすぐに呪文を唱え始め、回復魔法で傷を癒やしてくれた。

またある日は、風で飛ばされ、木の枝に引っかかった帽子を取るために木に登った。

帽子は取れたけれど、思ったよりも木が高くて降りれなくなってしまう。

『アンナ!大丈夫?』

そんなわたしを見かねて、心配したようにそう言うゼノ様。

『ぼ、僕!移動魔法でアンナを僕のところまでワープさせるよ!』

彼はそう言うと、呪文を唱え始めた。

転招召喚(エクス・ワープ)!』

呪文を唱え終わると、彼がそう叫ぶ。

するとわたしの体はいつの間にか地面に着地していた。

そんな事も知らない当時のわたしは、『ありがとうございます!』と元気よくゼノ様に頭を下げた。

今考えてみれば離れている場所にいる人やものをワープさせるのは、上級魔法でしかできないこと。
けれど、幼いながらにそれをやってのけたゼノ様は、本当にすごいんだと改めて思う。