爆走令嬢アンナの「規格外」な無双劇 〜婚約破棄され失恋しましたが、私の物理(拳)でどうにかします〜

「婚約破棄されたぁ!?!?!?」

「リ、リリィ!声が大きいよっ」

港町一帯が見渡せるテラス席。
美味しいスイーツを食べながらわたしが一週間前のことを話し終えると、間髪入れずに大声でそう言ったリリィ。

「理由は危なっかしくて胃がもたない!?そんなの知らないわよ!危なっかしいけど元気なところがアンナの唯一の取り柄じゃないの!」

ご令嬢とは思えないほどの声のボリュームと口の悪さを披露するリリィ。

というか、今ちょっとわたしのこと侮辱した?絶対したよね?

「でも、破棄して正解だったのかもね……だってあんな策略家で、何考えてるかわかんなくて、貧弱で、胃弱な魔道士なんてこっちから願い下げても良かったくらいよ!それに、あいつにはアンナのいいところがこれっぽっちもわかってないわ!時々うるさいくてお馬鹿で脳筋すぎるところもあるけれど、元気で明るいのは勿論、優しくて人思い、危なっかしいけど絶対に人を見捨てないし助けるんだもの!アンナよりもいい子なんてそうそういないわよ!ほんっとうに、あいつの考えてることはぜ〜んぶ計算違いよ!!大体、誕生日の当日に港町に行こうなんて誘っておいて、直前で『やっぱり無し』なんて、マセマティカ家の帳簿なら即刻赤字決済だわ!!!計算するのもバカバカしいくらいの、確実な大いなる損失よ!あいつはね!!!!」

つらつらつらと、高速マシンガンよりも早口で文句を並べるリリィ。

物凄く長いのになぜだかすべてが聞き取れた。

リリィの毒舌と家系が現れるような、そんな言葉に私は思わず心の中で笑ってしまった。

「ありがとう、リリィ。なんだか心の中の支えていたものが取れた気がする」

「あら、それなら良かったわ。ちょっと言い過ぎたけど、すっきりしたわ……って、アンナ!?」

顔を上げたリリィは、驚いたように目を見開いた。