爆走令嬢アンナの「規格外」な無双劇 〜婚約破棄され失恋しましたが、私の物理(拳)でどうにかします〜

「カイル君、喜んで友達にならせてください!」

笑顔でそう言い手を差し出すと、カイル君の顔がみるみる明るくなっていく。

「ほんとっ?!」

差し出したわたしの手をぎゅっと握り返してくれる。

「えへへ、新しい友達だ……!」

はにかんだカイル君。

「えへへじゃないぞ、カイル。お前、ちょっとは王族ってこと意識しろよ」

ポカッと軽くカイル君の頭を殴るシェイド君。

「は〜い」

「何だその返事は」

二人のコントのような会話に、わたしは思わず笑ってしまう。

それにつられてリリィとセルシアちゃんも笑い、最終的に「ふはっ」と残りの二人も笑い出した。

なんだか、とっても楽しい。

その笑い声の中で、わたしはそう思った。

少し前までゼノ様との婚約破棄で気持ちが沈んでいたとは、自分でも思えないほどだった。

「これからもよろしくねっ!」

わたしがそう言って笑うと、四人もそれぞれ笑顔で返事してくれた。

その時、ザック先生がこちらを振り向いた。

「いつまで話しているんだ?」と言いたげな目をして。

次の瞬間、わたし達の五人はピシッと背筋を伸ばした。

何も言わないザック先生はじいっとこちらを見つめる。

わたし達は口をつぐみ、まるで悪さを見つかった子どものように、そそくさと入口付近から散った。

それを見たザック先生は、授業を再開する。

わたしは息ぴったりのわたし達五人の行動がなんだかおかしくて、一人で小さく笑った。