爆走令嬢アンナの「規格外」な無双劇 〜婚約破棄され失恋しましたが、私の物理(拳)でどうにかします〜

―――コンコンコン

大職員室に到着し、豪華な扉を恐る恐るノックする。

「し、失礼……致します…パトリック先生は…」

重厚な扉を開けてそう言うと、ふと一人の先生が立ち上がった。

ふわふわした猫のような癖っ毛。タレていて穏やかそうな目。接しやすい顔立ち。
円縁メガネを掛けていて、いつも、シャツにズボンで上に長めの黒い襟付きの上着のようなものを羽織っている。

そんな物腰柔らかいパトリック先生は座学魔法の担当教師。

そして……怒るとめちゃくちゃ怖い…。

「アンナさん、待っていたよ。場所が場所だから、移動しようか」

いつもの通りの柔らかい声……なのに!
負のオーラも感じられる……怖い。

雰囲気が少し違っているパトリック先生に超絶怯えつつも、わたしの前を歩く先生についていく。



「入って」

数分後。歩き続けて立ち止まったかと思うと、そう言って部屋の扉を空ける先生。

扉の少し上にある室名プレートには、生徒相談室という文字。

そこに入りながら、ふと思い出した。

……確かここって、生徒相談室って名前だけど、それは名前だけで生徒指導室だった…ような。
絶対に怒られるの確定じゃない……これ。

わたしは説教は避けられないと一人悟り、大人しく椅子に座った。

わたしの座った反対側にある椅子に先生が座り、向かい合わせになる。

少しの沈黙の後、パトリック先生は話を切り出した。

「さて、僕が何を言うかは大体分かっているようだけど……今朝のことだ」

ゴクリ、とわたしは喉を鳴らして唾を飲み込んだ。