爆走令嬢アンナの「規格外」な無双劇 〜婚約破棄され失恋しましたが、私の物理(拳)でどうにかします〜

「アンナ!ヴァレンタインさーん!お待たせ!」

翌朝。
わたしとセルシアちゃんはリリィと三人で登校するために、中等部一年生女子寮の玄関先でリリィを待っていた。

声がした方を見ると、リリィが軽やかに飛び出してくる。

「遅くなってごめん」

「全然待ってないですよ。ね?アンナさん」

セルシアちゃんがわたしを見る。

「うん、そうだよ!さ、行こ」

セルシアちゃんに返事すると、わたしは二人の手を取って歩き出した。

夏の朝の爽やかな清々しい空気の中、寮棟から校舎への道を歩く。

「なにか、ガシャガシャ金属の音がしませんか?」

「多分それアンナだと思うわ」

「わたし?」

「足首にいつも付けてるオモリよ」

「あぁ、コレね!前より重くなったからかも」

「いつもつけてるんですか?」

そんな他愛もない(いや、そんなことない)話をしながら、寮棟と校舎の中間地点にある中央広場へ差し掛かった時。

「あら?あれ、何でしょう?」

セルシアちゃんが指さした先には、人集りがある。

「見に行ってみる?」

「そうしましょうか」

わたしたちは人の隙間から覗き込んだ。

中心には、ネクタイの色から二年生と分かる男子生徒が二人、顔を真っ赤にして睨み合っている。

「謝れよ!貴様、Aクラスの分際で…!」

「ぶつかってきたのはお前だろう。Sクラスだからって威張ってんじゃねえよ!」

大声で罵り合い、両者が魔法を放つための体勢に入る。

一触即発。
その言葉がぴったり当てはまるような雰囲気だ。