爆走令嬢アンナの「規格外」な救世劇 〜婚約破棄され失恋しましたが、私の物理(拳)でどうにかします〜

「っ、ゼノ様……うぅ…バカァ」

12歳の夏。わたしは初めての失恋というものを体験した。

ゼノ様がくれたたくさんの大好きなお菓子たちも、今は重みにしか腕に感じない。
それはきっと、失恋という名の心の苦痛と同じ重さなのだろうなんて思った。

小さい頃はゼノ様に恋愛という感情はなかったけど、一緒に過ごしていく時間が長くなるほど、好きという気持ちが大きくなって……。
わたしの初恋だった……。

わたしは芝生の上でわんわん泣き喚く。

誕生日だって、お母様とニーナロイお姉様に目一杯おしゃれさせてもらって、一緒に港町でゆっくりするっていう約束をしていたのに……。
「可愛いね」って一言だけでも言ってもらいたかったのに!

持っていたハンカチで涙を拭きながら鼻をすする。

その時―――

「アンナ!どうしたんだ?」

ものすごいスピードでリザットお兄様がこちらに走ってきた。

その勢いで生まれた風圧に、わたしの涙は空へ吹き飛ばされた。

「リザットお兄様……あの、ゼノ様が婚約を取り消そうって…それで頷いて――」

「は?あいつ、そんなこと言ったのか?あの小僧に俺の魔力をぶつけてやろうか?」

わたしがさっきあったことを最後まで言おうとしているのに、最後まで言わせてくれずにわたしの言葉和漢膳に遮る。

お兄様……。

「本当にやりそうですね。やめてくださいね。死んじゃいます」

思ったことをお兄様にそのままぶつけた。

「あ、あぁ」

さっきまで泣いていたわたしの顔が急に真面目になったからか、お兄様は本気で戸惑ったよう