爆走令嬢アンナの「規格外」な無双劇 〜婚約破棄され失恋しましたが、私の物理(拳)でどうにかします〜

『お料理をお届けに参りました』

柔らかな声とともに、雲のようにふわふわした物体がテーブルへ滑るように近づいてきた。
その上には、リリィが注文したらしいスイーツがずらりと並んでいる。

雲がゆっくりとテーブルの上に乗り、雲が溶けるようにふわっと消えた。

「最近、この制度よく使われるね〜……名前なんだっけ?えっと……ふわぽた?」

わたしは機能性の良さに感心しながらそう言った。

空中浮遊運搬機(エアフロート・ポーター)よ。うちの家が開発したんだから、それくらい覚えておいて。まあ、これはあまり魔力を使わないみたいだからね。私なら通常の十倍でも余裕だってお父様に言われたわ」

自慢げにそう言うリリィ。

「え、エアフ……ぽた?……難しい。いいじゃん、ふわぽたで。ふわふわしていてぽちゃって溶けるみたいになくなる。かわいいでしょ?」

わたしの返答に、リリィは少しムスッとした顔をする。
リリィの自慢ポイントをスルーしたのが気に食わなかったのだろうか。

「まあいいわ。それより早く食べましょう」

リリィは気を取り直したようにそう言った。

「はーい……って、わ!美味しそう!とってもかわいい」

テーブルの上には、宝石のように輝くスイーツたちがぎっしり。

その瞬間、頭の中にちらついていたゼノ様の顔も、失恋の痛みも、全部吹き飛んだ。

そして、私の目の前にある一枚五センチほどの三段パンケーキに一気に塗り替えられる。