「「わっ!」」
二人の高く、心地よいユニゾンを聞きながら、手を引いて走り出した。
わたしが一歩ずつ進めるだけで、野次馬たちは蜘蛛の子を散らすように去っていく。
まるで、わたしに怯えて道を空けるように。
不思議に思いながらも会釈すると、どんどんとその場から逃げるように走っていき、人集りは完全になくなった。
そのアンナの姿を、学園内が一望できるSクラス専用のテラスバルコニーから、元婚約者のゼノ・ストラテギウスは終始眺めていた。
「……信じられない」
バルコニーの手摺を緊張で思わず強く握ったまま、ゼノは呆然と呟く。
彼が知っている学院でのアンナは、危なっかしかったものの、少なくとも魔力についてのことには一切触れたがらなかった。
自分の後ろで申し訳なさそうに俯いている少女だったはずだ。
それがどうだ。今、広場の中心で魔法を素手で粉砕し、ひび割れた石畳の上で太陽のように笑っている。
婚約破棄した日から、彼女を纏う雰囲気が変わってしまっている。
それに加えて、流石に魔力を粉砕させるほどの威力はなかったはずだ。
「中級魔法を風圧で霧散させるなんて……どんな筋力をしていればそんなことが可能なんだ…物理的にも可笑しい……!」
アンナが楽しそうに駆け出す躍動感に、あろうことかゼノは一瞬、目を奪われてしまった。
だが、アンナが走る度に怒る地響きを聞いた途端、彼の胃が激しく悲鳴を上げる。
「うっ……! 胃が、胃が……!」
あまりの衝撃に、ゼノはその場に膝をつき、胃を押さえて蹲る。
震える手でポケットから胃薬を取り出し、水もなしに飲み込んだ。
「あんなにデタラメな彼女と……これからは幼馴染として、同じ学院で過ごさなければならないのか? 」
胃の痛みは、恐怖か、それとも別の感情か。
人混みから抜けてこちらに、校舎の方に向かってくるアンナたち。
一歩を進める度に伝わってくる振動に冷や汗をかきながらも、ゼノはアンナから目離せなかった。
二人の高く、心地よいユニゾンを聞きながら、手を引いて走り出した。
わたしが一歩ずつ進めるだけで、野次馬たちは蜘蛛の子を散らすように去っていく。
まるで、わたしに怯えて道を空けるように。
不思議に思いながらも会釈すると、どんどんとその場から逃げるように走っていき、人集りは完全になくなった。
そのアンナの姿を、学園内が一望できるSクラス専用のテラスバルコニーから、元婚約者のゼノ・ストラテギウスは終始眺めていた。
「……信じられない」
バルコニーの手摺を緊張で思わず強く握ったまま、ゼノは呆然と呟く。
彼が知っている学院でのアンナは、危なっかしかったものの、少なくとも魔力についてのことには一切触れたがらなかった。
自分の後ろで申し訳なさそうに俯いている少女だったはずだ。
それがどうだ。今、広場の中心で魔法を素手で粉砕し、ひび割れた石畳の上で太陽のように笑っている。
婚約破棄した日から、彼女を纏う雰囲気が変わってしまっている。
それに加えて、流石に魔力を粉砕させるほどの威力はなかったはずだ。
「中級魔法を風圧で霧散させるなんて……どんな筋力をしていればそんなことが可能なんだ…物理的にも可笑しい……!」
アンナが楽しそうに駆け出す躍動感に、あろうことかゼノは一瞬、目を奪われてしまった。
だが、アンナが走る度に怒る地響きを聞いた途端、彼の胃が激しく悲鳴を上げる。
「うっ……! 胃が、胃が……!」
あまりの衝撃に、ゼノはその場に膝をつき、胃を押さえて蹲る。
震える手でポケットから胃薬を取り出し、水もなしに飲み込んだ。
「あんなにデタラメな彼女と……これからは幼馴染として、同じ学院で過ごさなければならないのか? 」
胃の痛みは、恐怖か、それとも別の感情か。
人混みから抜けてこちらに、校舎の方に向かってくるアンナたち。
一歩を進める度に伝わってくる振動に冷や汗をかきながらも、ゼノはアンナから目離せなかった。



